苦しい毎日から救われたい。そんな村人たちの祈りが届いたのか、ある日、体に不思議な変化が訪れます。体がふわっと軽くなり、空に手が届きそうになる毎日。人々はこれを神様からの贈り物だと信じ、村は喜びに満ち溢れます。少しずつ、でも確実に変化していく日常の描写が本当に巧みで、ぐいぐい引き込まれます。短編ならではのスピード感で一気に読めるのも魅力。ラストを読んだ時、きっとあなたも物語の最初から全てを確かめたくなるはずです。
村人たちは神に近づいていく……物理的に。彼らに約束されたクライマックスを、君は予想できるだろうか。カクヨムでは珍しい純理系的SF。ただ、「星新一賞」あたりに比べて、世界観が黒々としているのが特徴。強烈な個性の文体がグッときます。オチに気づいてから読み返してみると、まずタイトル「翼の落ちた日」から工夫を感じる。シニカルな理系発想力で、精密に調理された逸品です。
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