その話、どこで聞いた？ ―構造怪異譚―

誰かが「変な気配を感じた」と言った。
誰かが「幽霊じゃない？」と言った。
それだけで、“何か”がこの世界に生まれてしまうことがある。

目に見えない違和感。
うまく言葉にできない不安。
それを人は、物語にして語り継ぐ。

この物語に、怪異は出てこない。
けれど、“幽霊のようなもの”を見たと語る人は、今もどこかにいる。
あるいは、“何かおかしなものを見た”という誰かの声が、今も残っている。

「怪異」は、もともと存在していたのではない。
誰かが語り、別の誰かが名前を与え、
やがて“そういうもの”として信じられてしまう。

これは、“怪異が存在する理由”を描く物語です。
都市伝説、SNS、聞きかじった誰かの噂──
そのすべてが、あなたの隣にあるかもしれません。