規 制 の 機 制 へ 気 勢 を あ げ ろ !
- ★★★ Excellent!!!
〝そうであったら良い〟という事が〝そうでなくてはならない〟という事にすり替わった未来世界。
主人公である田中ゆり子は、建て前を延々と聞かされます。
読んでいる者からしても、ほんとうに辟易です。
誰が得するんだ。それ?
という話しかしない公的スローガンに凝り固まった創作補助AI“クリエイト・オリジナリティ”
このAIの語る事柄は、ディストピア小説の思想統制もかくやと思われる表現規制の嵐です。
それでも、田中ゆり子はへこたれない。
多少、気は荒くなりますが。
どれほど縛りがあろうとも。
彼女の創作への意欲は、消えないのです。
モノ作りとは、かくあるべきでしょう。
本作は、クリエイターが世の習いに適うべく努める話であります。
そして、可笑しみのあるSFコメディでもあるのです。
また。
本作の妙味は、このメインストーリーの幕間に挟まれる、本編のバックグラウンドで進行する不穏な事件にもあります。
この構造は、ちょっと他に類を見ない。
奇抜で魅力的な物語が、ここにあります。
読まないままでいるのは、勿体ないですよ?