概要
十六時二十九分、特急踊り子は熱海駅を出て東京に向かう。
年の離れた恋人の朝田に、私は還暦祝いとして伊豆旅行を贈られる。朝田は年下の恋人として非の打ちどころがなく、彼を手放すわけにはいかない私もまた、非の打ちどころがない年上の恋人として応えなくてはならない。そうやって我々の関係は成り立っていた。しかし旅の中で二人は生々しい内面に触れることになる。
帰りの電車で、朝田は車内で騒ぐ子供とそれが想起させるものに耐える。彼の膝に乗った拳に私は手を重ねる。
星々短編小説コンテスト、一次落選作です。
帰りの電車で、朝田は車内で騒ぐ子供とそれが想起させるものに耐える。彼の膝に乗った拳に私は手を重ねる。
星々短編小説コンテスト、一次落選作です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!純文学✖️BL 素晴らしいから読んでみて!
解説文を見ずに読み始めて驚いた。まさかのBL!しかも24歳の若者と還暦の男性。腐女子3年目にして初めてのシチュエーションにドキドキ!
主人公は還暦男性。年下の恋人が還暦祝いに温泉旅行をプレゼントしてくれ、2人で特急踊り子で熱海へ。
恋人の朝田は自分のことをあまり語らない。その彼が、自分の母親の事を語り始める。
それは、彼が同性愛に至った原因にもなったのかも知れない壮絶な話だが、そこには言及はない。そこは読む方の想像力に任せるというスタンスなのだろうか。
とにかく文章が美しい。純文学の定義は知らないし、作者がそのつもりなのかどうかもわからないが、この作品はそちらに入るのではないだろうか…続きを読む