妖精部隊
水城みつは
第1話 チェンジリング
「妖精が見えるようになる薬があるらしいぞ」
「
そんなファンタジーじみた話あるわけがない……と言いたいところだったが、この世界は数年前からファンタジーに片足を突っ込んでいる。
「ついでに言えば、その
「え、マジ?」
少し心が揺れる。
そして、俺の
「ただ、半分ぐらいは死ぬって話だ」
「クソかよ!」
そして、今現在、俺がこんな路地裏で死にそうになっているのは、そんなあやふやな情報が気になったからではない……筈だ。
―― 『グギャギャァッ……』
異界化は
そして、異形とは異界に存在する不可思議な、生物と言って良いかもわからないモノだ。
困ったことに異形は攻撃的であり、他の生物を見つけると襲ってくる存在であり、俺は異形に追われている最中である。
ズルリと足を引きずるような、それでいて素早い動きで異形が接近し、無造作に腕を振るう。
「ぐぅっっ……」
ガードした腕をものともせず振り抜かれた力により俺の体は宙を舞った。
狭い路地から人気のない大通りへと転がり出る。
普段は人通りの多いところだが、異界化は通常の空間とは切り離されているとされ、確かに誰もいない……?
地面に倒れ込んだため紫色をした空が見えた。
そして、俺を見下ろす黒髪の天使、いや、美少女が一人。
「君、一般人だよね? どうして此処に……あ、生きてる? 意識はある?」
「……あ、逃げて」
俺を追って異形が来てしまう。
「えーと、私は
少女は腰のポーチから光る筒を取り出した。
「……トリの降臨?」
「『こうのとり、りん』だ。意識混濁が見られる緊急事態と判断して
手に持った光る筒が腕に押し当てられ、激しい痛みと共に意識が遠くなるのを感じた。
妖精部隊 水城みつは @mituha
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