誰を好きになったとしても、君はこの世界にいていいのだから。

保健体育の授業で、ジェンダーについて学んだクラスの生徒たち。
その放課後、クラスの中で発言力の大きい男子である芹澤がそのことについて話し始める。

「同性が好きなヤツって、実際結構いるんかな?」

芹澤を中心とした数人のグループ内で話は広がり、同性に恋情を向けているヤツは気持ち悪いというような発言までされてしまう。

男性の恋人がいる兄を持つ主人公は、腹立たしく思うも何も言うことができない。
クラスで特異な存在になってしまうのは、とても怖いことだから。

そんな時、ひとりの女子の凜とした透明感のある声が響く。
笑顔が素敵な正義感の強い子、佐倉笑茉。
彼女は静まり返った教室で、告げる。

「私、女の子が好きなんだけど」


多様性とは何か。
その中で、人は人とどう向き合っていけばいいのか。
それらを優しく伝えてくれる、すてきな作品だと思います。
ぜひとも、読んでいただきたい一作です。

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