新しい切り口から見る怪異との契約

怪異の契約に、リアルな経済・環境的思考を絡めるとは驚きの発想でした!
「金利ならぬ魂利」、「信用問題」など、魂をマネーのように扱うのが何とも興味深いです。
特に、魂の質感・質量について、フローの観念が独創的だと思います。

情報量は多いものの、欲しいと思った時に与えられる情報のテンポの良さが、読んでいてストレスを感じません。

もしこちらの設定を引き継いで、続きもので具体的なエピソードを書かれるのならば、そちらも面白くなるだろうなぁと思いました。

怪異との契約がもたらすリスクは明確でした。ただ、「契約によって人間がどのようなメリットが得られるか」がより具体的なエピソードで描かれていると、さらに没入できたかなと。
こちらに関しては「4つの物語」で補足されていましたが、「もっと具体的に知りたい」と感じました。短編の尺を考えると難しいかもしれませんが…すみません、好みの問題だと思います。

日頃エンタメ作品ばかり読んでいる私には、最初固い文章に感じました。それでも読む手を止めさせない唯一無二の設定と、文章力が光っています。

本格派ファンタジー・SFがお好きな方にオススメできる良作です!

最後に作者のハロイオ様へ。
良い作品をご紹介いただき、ありがとうございました!

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