概要
岡村まり子が死んだ。都会のビルの屋上から、18歳の天使は宙に舞った。
1986年4月、アイドル歌手マリコが自殺する。大ファンだった僕と山口は、TVや雑誌の情報をもとに死の真相を推理する。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!~ フィクションなのに、献花のように読める ~
「岡村まり子が死んだ」この一文から始まる物語は、全5話・16,000字という短さにもかかわらず、読み終えた後にしばらく立ち上がれなくなる。
1986年、アイドル歌手の突然の死。TVや雑誌の情報をもとに真相を推理しようとする二人の少年という語り口が、私小説のような生々しさを生んでいる。フィクションのはずなのに「作者がその場にいたのではないか」と疑いたくなるリアルさは、この作者ならではの昭和への解像度の高さがあってこそだろう。
特筆すべきは「残された側」の悲しみの描き方だ。死の真相を追う推理の物語であると同時に、熱狂を知っている者だけが感じられる喪失の重さがそこにある。あるレビュアーが「献花のよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心臓を抉られる衝撃 熱狂と悲劇の「生々しい」描写
人気アイドルの自殺というセンセーショナルなテーマを扱いながら、単なる追悼や事件の顛末で終わらない。
その最大の魅力は、事件が引き起こす凄まじく「生々しい」現実の描写力。
熱狂的なファン文化の凄まじい熱気と、その熱気が冷めた後に残る凄惨な現実が、読者に深い悲しみと衝撃を与えます。
特に、熱心なファンであった少年・山口の視点を通して描かれる個人的な悲劇と、その赤裸々な感情の吐露は、まさに作品の心臓部。
アイドルの死という巨大な衝撃と、一人の少年の抱える切実な悲痛が克明に描き出されたその筆致は、読み手の心に深く、そして生々しく突き刺さる傑作。