冒頭の一文——「奴隷を上手く管理するのには、自分達を奴隷と思わせないようにすればよい」が167話を貫くテーマを一行で提示している。その後に来るプロローグは、月面古代基地の発見から人類の好奇心が引き金になって世界が崩壊するまでを一気に語る。この「ひとりの調査員の衝動が文明を終わらせた」という因果の残酷さが、物語全体の底に流れている。
遺跡とSFが融合した管制室の描写水晶とパソコンが共存する異質な空間、クラシカルと最先端が混ざった雰囲気は視覚的に強く、映画的なオープニングとして機能している。
本編の特徴として既存レビューが口を揃えるのが、チートも無双もないという点だ。21世紀の記憶を持つ転生者ヴィクターは強いが、武器の耐久限界や魔力消費を計算しながら泥臭く戦う。敗北もする。それが「熱い戦いと本物のドラマ」という作者の宣言と正確に一致していて、誠実さが伝わってくる。
相棒の「愛すべき変態」直弥によるコミカルな場面も、シリアスな本編に挟まることで息継ぎとして機能しているらしい。完結済み167話・51万字。舞台が日本から宇宙へと広がる骨太なダークSFを一気読みしたい人に。
なんだか私の作風と似た雰囲気を感じて手に取りました。
月面の遺跡がもたらした災厄、ダンジョン。
最愛の両親を奪われた少年ヴィクターは、
転生者の記憶をその牙に変え、復讐の深淵へと足を踏み入れる。
本作の面白さは、圧倒的な「ガチ感」にあります。
確かにヴィクターは強いんですがただ無双するだけではない。理不尽なデバフ、武器の耐久限界、魔力消費の計算。
泥臭い試行錯誤の末に、
敵の特性を「科学と魔法」で解体していくプロセスがありまます。
そして、最高のアクセントは相棒の直弥。
「変態」。
愛すべき変態。
もうこれ以外の言葉がありません(笑)。
物語としても徐々に明らかになる国家の関与やヴィクターの過去の真実など、サスペンスが効いています。
シリアスな復讐劇でありながら、
小気味よい掛け合いが読後感も軽やか。
緻密な設定に基づいたSF的攻略と、
熱い人間ドラマを同時に味わいたい方に、迷わずお勧めします。
初めて小説を書き始めたときに、書きたかった世界が広がっていました。
(わたしは早々に諦めて今の作風に至りました)
皆さんがおっしゃる通り、バトルシーンが圧巻です。
でも、それだけじゃない。
主人公が持つ悲しみを始めとして、登場人物の感情がよく書き込まれているし、すべて納得できます。
主人公たちの能力もチートではないのも、個人的に高ポイントです。
転生もので、どうしても苦手だったのがチートなんです。知識の面では確かにチートなところもありますが、それを忘れる努力の描写が尊かったです。
バッド・エンドではない方も楽しみにしています。どのあたりで話が分岐するのか、勝手に想像しつつ、お待ちしてます。
この作品、バトルシーンの描写が素晴らしいと評判だったので拝読させて頂いたのですが、魅力はそれだけではありませんでした。
まず何と言っても、主人公が魅力的です。本作の主人公ヴィクターは、『棚ぼたで手に入れた能力』を使い、『無自覚に無双』し、『周囲の人間の賞賛を集める』というようなタイプとはまさに対極といっていい人物です。強さに背景や説得力があります。
それから、これもファンタジー小説にありがちな『手抜き満載の中世ヨーロッパ風』などではなく、近未来の日本、地球、それから宇宙へと広がりを見せる壮大なストーリー。基本はダークでシリアスな展開ですが、ところどころ『息抜き』ともいえる描写も混ぜてあり、読者を飽きさせません。
数分読んでスカッとするだけ、特に心に残るものはないような、理由がよく分からない高評価作品とは違い、納得の高評価作品です。