「岡村まり子が死んだ」この一文から始まる物語は、全5話・16,000字という短さにもかかわらず、読み終えた後にしばらく立ち上がれなくなる。
1986年、アイドル歌手の突然の死。TVや雑誌の情報をもとに真相を推理しようとする二人の少年という語り口が、私小説のような生々しさを生んでいる。フィクションのはずなのに「作者がその場にいたのではないか」と疑いたくなるリアルさは、この作者ならではの昭和への解像度の高さがあってこそだろう。
特筆すべきは「残された側」の悲しみの描き方だ。死の真相を追う推理の物語であると同時に、熱狂を知っている者だけが感じられる喪失の重さがそこにある。あるレビュアーが「献花のようだ」と評したのが、この作品の本質を最もよく言い当てている。
『1980:ダブル・ファンタジー』とあわせて読むと、星ジョージという作家の昭和への眼差しがより深く見えてくる。
人気アイドルの自殺というセンセーショナルなテーマを扱いながら、単なる追悼や事件の顛末で終わらない。
その最大の魅力は、事件が引き起こす凄まじく「生々しい」現実の描写力。
熱狂的なファン文化の凄まじい熱気と、その熱気が冷めた後に残る凄惨な現実が、読者に深い悲しみと衝撃を与えます。
特に、熱心なファンであった少年・山口の視点を通して描かれる個人的な悲劇と、その赤裸々な感情の吐露は、まさに作品の心臓部。
アイドルの死という巨大な衝撃と、一人の少年の抱える切実な悲痛が克明に描き出されたその筆致は、読み手の心に深く、そして生々しく突き刺さる傑作。
冒頭は、衝撃的な展開から始まります。
人気アイドルがどうして亡くなってしまったのか、死の真相を主人公と共に推理しながら進んでいくストーリーです。
時代背景が昭和。1986年代という事もあって、今とは少し違ったアイドルファンの様子がとてもリアルに描かれています。
大好きだったアイドルをこの世から失って、絶望しながらも思わず事故現場へと向かった主人公。
そこで、以前コンサートで出会った「山口」という青年に出会います。
……この二人が、大好きなアイドルが「なぜ自死によって亡くなってしまったのか」について思考を巡らせていくのですが、その過程が自然な流れで、かつ引き込まれるような展開になっていて素敵でした😊
物語の内容も、結末も、決して心地の良いものでは無いのですが……「青春」「昭和」というフィルターを掛けて読んでしまうせいでしょうか。爽快感があり、「面白かった」と言って良いのか分かりませんが💦
「読ませて頂いて良かった」と思いました。
冒頭から引き込まれる作品でした。
読ませて下さってありがとうございました🌠