巧みな描写で圧巻の映像美! “読んだ”のか“観た”のかわからなくなった

本作はまさに、著者の独特にして巧みな筆致で描かれている傑作である。


岬の頂の神社。
 海と神社とを繋ぐ千本鳥居。
  新月の夜の篝火。
   赫く光り、盛り上がりくる海面


文章を読んだはずなのに、それらを映像として脳裏にまざまざと記憶してしまう。
それはまるで、1本の映像作品を観たかのようである。

そして耳には、“赤子の泣きたるが如”き、声が聞こえるのだ。


描かれる世界は幻想と恐怖の間に在りながらも、そのどちらにも寄りすぎない。
ただ、1歩でも深く踏み込もうものなら、とんでもない恐ろしい世界がそこに待ち受けるように感じる。

この物語を美しいと感じた時にはもう、私はこの作品に呑まれてしまっていた。




本作は著者の作品「猫魔岬變」を読むことで、この世界観と“起こったこと”への理解が一層深くなる。
もしまだ読まれていないなら、ぜひ読んでいただきたい。

一体、“先生”に何が起こったのか。
この岬にある神社は、何なのか。

もう一度言う。
ぜひ、読んでいただきたい。

この岬には、本作では描かれていない“歴史”があるのだ。
本作を読んだ方にはぜひそれを知っていただきたい。

「猫魔岬變」を読み進めるごとに、この「Leviathan の廻航」の物語は、より明確になってくるだろう。

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