巧みな描写で圧巻の映像美! “読んだ”のか“観た”のかわからなくなった
- ★★★ Excellent!!!
本作はまさに、著者の独特にして巧みな筆致で描かれている傑作である。
岬の頂の神社。
海と神社とを繋ぐ千本鳥居。
新月の夜の篝火。
赫く光り、盛り上がりくる海面
文章を読んだはずなのに、それらを映像として脳裏にまざまざと記憶してしまう。
それはまるで、1本の映像作品を観たかのようである。
そして耳には、“赤子の泣きたるが如”き、声が聞こえるのだ。
描かれる世界は幻想と恐怖の間に在りながらも、そのどちらにも寄りすぎない。
ただ、1歩でも深く踏み込もうものなら、とんでもない恐ろしい世界がそこに待ち受けるように感じる。
この物語を美しいと感じた時にはもう、私はこの作品に呑まれてしまっていた。
本作は著者の作品「猫魔岬變」を読むことで、この世界観と“起こったこと”への理解が一層深くなる。
もしまだ読まれていないなら、ぜひ読んでいただきたい。
一体、“先生”に何が起こったのか。
この岬にある神社は、何なのか。
もう一度言う。
ぜひ、読んでいただきたい。
この岬には、本作では描かれていない“歴史”があるのだ。
本作を読んだ方にはぜひそれを知っていただきたい。
「猫魔岬變」を読み進めるごとに、この「Leviathan の廻航」の物語は、より明確になってくるだろう。