「芸」それは人に見せるためのものか、人を超えたものか。

俗性によって神を殺し、凡俗こそが唯一絶対の正義だと謳う現代の人間には、俗を超えた存在に価値を見出すことはできず。
その価値の壁をよじ登った慧眼と熱意とをもつ語り手は、否、それゆえにこそ、超俗を俗界へと捕えて帰ることこそ正しいという価値観から飛び立つことができなかった。
だからこそ、舞い手は本物の鳥になって、はるかへと飛び去ってしまった。
その語り手の姿もまた、本当の俗物にとっては何ともまぶしく、哀しく感じます。