落ちた女王と根暗少年、学園祭ライブで世界が少し明るくなる話胸が熱いよ!
- ★★★ Excellent!!!
『都落ちギャル(血統書付き)に懐かれた話』は、教室の空気を支配していた「女王」が転げ落ち、輪の外にいた少年がその余波を正面から受けてしまうところから始まる。主人公の乾いた独白と、京華の強引さがぶつかり合い、笑えるのに目が離せない調子で進む。『血統書付き』という言い回しが、本人の誇りと、周囲の視線の残酷さを同時に刺してくるのも巧い。
序盤で印象に残ったのは第3話の校舎裏だ。捨てられた教科書に「藤堂」の名前を見つけて、主人公が黙って拾い上げる。人気のない茂みで京華と鉢合わせし、枝を踏んで気配が割れた瞬間、彼女は噛みつくように距離を詰めてくるのに、会話はどこか間が抜けていて、やがて京華が笑ってしまう。助けた側も助けられた側も素直になれないのに、そこで関係の芯が生まれてしまう。この場面だけで、京華が「哀れな被害者」でも「単なる加害者」でもなく、誠人もまた冷めた傍観者のままではいられないことが伝わる。
第10話まで読む限り、物語は「転落の後始末」だけに留まらず、音楽や学園祭ライブへと流れを作っていく。屋上の昼休み、ギターの手触り、歌声が空気を変える瞬間が挟まることで、京華の強さが“支配”から“表現”へと形を変えていく予感が出る。軽口が多いのに、ふとしたところで寂しさが漏れ、読後に残るのは案外まっすぐな青春の熱だ。
連載156話のうち、私はまだ第10話までだが、この時点で「都落ち」の意味が、単なる立場の失墜ではなく、誰と組むかを選び直す話として立ち上がっている。ここから仲間集めがどう転ぶのか、京華の強さがどんな形で戻るのか、続きを追う動機がはっきり残った。空気の悪い教室を抜けて、2人だけの会話が少しずつ外へ開いていく、その過程を見届けたい。
注……最初の数話を読んだ時、★5つ付けたいと思った。勢いがあり、格好の良い作品だ。僕には描けない。形をつけるため、10話まで読んでレビューしてみた。勿論最後まで読ませてもらいます。