「何気ない会話の先で、静かに刺さる一行」

  • ★★★ Excellent!!!

中学生の日常が、驚くほど等身大の温度で描かれていて、会話の一つ一つが妙にリアルです。
ギターに夢中なヒーくんと、少し距離のあるケイちゃんのやり取りは、特別な事件が起きなくても読ませる力がある。
たこ焼きを食べながらの雑談や、「僕」と「俺」の呼び方の揺れ、どうでもいいようで大事な会話の積み重ねが、二人の関係を自然に深めていくのが印象的でした。
だからこそ、ケイちゃんの告白や、ラストの一文が強く残ります。
派手な展開ではないのに、ページを閉じた後で胸に引っかかるものがある。
すごく良かった。