それは“在るはずのないもの”なのか、或いは“本来そこに在るもの”なのか

主人公は、在るはずのないものを見たのか、
それとも、本来そこに在るものを見たのか。



自分だけ見えて、他の人には見えない。
そういう状況は一番怖い。

その恐怖を、誰とも共有できないからだ。


主人公は見てしまった。
それは、見てはいけないもの。見るべきではないもの。

他の人には見えず、自分だけに見えてしまったもの。


読んでいてぞわぞわとした寒気が背中から全身に広がるような、静かな恐怖がある作品だった。


「確かに、葬式はあったのだ。」という言葉の余韻が残す奇妙な読後感。

──それは一体、誰の葬式だったのだろう。

  ♦ ♦ ♦

このお話を読んで、「そうそう、こういうホラーが好きなんだよ!」と思われた方は、続いて著者の作品「櫻岾奇談」を開いてほしい。
きっと、もっと奇妙な世界が待っているだろう。

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