幸せを知った2人

本気で惹かれた人は、余命宣告を受けていた。
大きな愛を抱えて、まるで陽だまりのような、暖かくて優しい人。
彼は既に死の覚悟をしていて、凛としていた。

「出会えて幸せなんですよ、本当に」
「それはこっちのセリフだよ」

泣きながら笑う俺に、静かな眼差しで包み込む。

そしてお前は風に吹かれる花びらのように儚く散ってしまった。
せめて今、穏やかな優しい夢の中で安らかに眠っている事を願っている。