「好き」が人生を動かす(5話までのレビューです)

5話まで読ませていただきました。
物語が進むにつれ、キャラクター同士の関係性や対立軸が明確になり、ストーリーが本格的に動き始めた印象です。

第1話では、偶然出会ったリンドブルムのレース映像に心を奪われた兎羽が、世界を広げるきっかけを得る描写が丁寧に描かれており、読者としても彼女の感情の動きに寄り添える導入でした。

その後、第2〜3話で兎羽と夜見という対照的なキャラクターが出会い、勢いと静観、情熱と保守という構図が生まれ、二人の掛け合いや進行のテンポが作品の魅力になっています。

4話・5話では舞台となる憑闘部と、過去に傷を抱えた直美という存在が描かれ、華やかな競技世界の裏にある「喪失」「限界」「未練」も物語に加わり、作品全体に深みが増したと感じました。
また、兎羽の行動力と直美の挑発・疑念がぶつかり、部室の行方をかけた対決という明確な目標が提示されたことで、今後の展開への期待感が高まります。

青春・スポーツ・SF技術・個人の過去と未来、それらが少しずつ絡み始めている物語でした。
続きがどう動いていくのか楽しみにしています。

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