今も聞こえる、フニクリ・フニクラ……

主人公は、YouTuberです。まあ、彼のことはどうでもいいです。
問題は、彼が動画のネタに取材に行った男、「鬼男」でして……。

「I県K市に『鬼男』がいるから見に行ってこいよ」と言う、動画の視聴者からの、
半ば煽りのようなコメントをもとに、主人公は二日かけて鬼男に会いに行きます。

さて、鬼男。おどろおどろしい名前ですが、彼は一体何者なのか……?


ようやく見つけた鬼男は、介護施設にいました。
驚いたのは、彼は日本人ではなく、イタリア人だったのです。

そして大の女好き。男である主人公は相手にされません。

それでも「ボンジョルノ」と覚えたてのイタリア語を話す主人公。

そこから、なんとか鬼男さんは口を開いてくれました。





さて、この、鬼男さんの動画を見た視聴者さんからは驚愕の事実が伝えられます。

なんと、彼の話していることはイタリア語ではない。


それは、なんと……ナポリ語だったそうなのです。



一体なぜそんな男が日本の介護施設に……?







そこには、波瀾万丈な、彼の人生がありました。

当時ファシスト政治を行っていたナポリにて、幼くして母を失った鬼男ことトニオさんは、渡米。

ブルックリンにて言葉の壁と戦いながらも懸命に生きてきました。が、
そこに起きたのは、
日独伊三国同盟。

トニオさんは、アメリカ人にとっての敵になってしまいました。


さらに流れて流れてやってきたのは日本。

畑仕事を手伝いながら、日本人に歌を教え、懸命に生きてきたトニオ。
そんな彼を待っていたのは……第二次世界大戦という現実でした……。




人に歴史あり。


そして、「鬼男」というあだ名がついた理由とは?


今回もまるで、偉人伝を読んでいるかのような読後感でした。


知育コンテンツとして、本当に素晴らしい書です。


お勧めいたします!! ぜひ!! ご一読を。






































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