青春に残された、答えの出ない問い

この作品は、高校生六人がそれぞれのコンプレックスと向き合っていく青春群像劇です。

それぞれの弱さと向き合っていく物語――と書けば簡単ですが、実際に描かれているのは「どうやって生き続けるか」という、かなり根の深いテーマだと感じました。

物語の中で描かれる“悪魔”や“魔神”は、倒すべき敵ではなく、自分の中に巣食う劣等感や恐れ、怒りや迷いを象徴した存在です。
それらは消えてなくなることはなく、どう折り合いをつけて生きるかが、登場人物一人ひとりに突きつけられます。

ライラが語る「悪魔とは、人の嫌な部分を指しているだけ」という言葉は、この作品全体の背骨だと思います。

個人的にとても好きだったのが、ラストの「七人」という表現です。
物語を通して描かれてきたのは高校生六人の青春ですが、最後の風景では自然と“七人”になっている。
それを説明せず、人数で示す終わり方が、とてもこの作品らしく感じました。

青春のきれいな部分だけを切り取らず、迷いながら、悩みながら、それでも誰かと一緒に歩いていく――そんな青春を丁寧に描いた作品です。