概要
人を食べたことがあるだろうか? 俺はまだない
帝国に住む異民族の子孫、テヲノ・クヌーテは、大学院で言語学を学んでいる。そんな彼が、人食い人種を隣に乗せ、夜の街を突っ走る。
事の発端は、数百年の寿命を持つと言われるマグ族の男が死んだことにあった。
大学の医学チームによると、遺体の研究は長寿や健康の秘密を解き明かす絶好の機会であるという。少数民族の言語が専門のテヲノは、マグ族との通訳に駆り出された。ただそのマグ族というのが、食人の風習のある、いわゆる人食い人種なのだが……。
食われるのでは、という恐怖と戦いながらも、首尾よく遺体を回収した一行。遺体を車に乗せ、帰路に就こうとしたその時、死んだ男の娘・マナが父の亡骸を奪い返そうと襲ってきた――。
マナはなぜ父を食ったのか?
その時、テヲノは……?
一風変わった異世界を舞台に、奇妙な二人の関係が紡がれる。
事の発端は、数百年の寿命を持つと言われるマグ族の男が死んだことにあった。
大学の医学チームによると、遺体の研究は長寿や健康の秘密を解き明かす絶好の機会であるという。少数民族の言語が専門のテヲノは、マグ族との通訳に駆り出された。ただそのマグ族というのが、食人の風習のある、いわゆる人食い人種なのだが……。
食われるのでは、という恐怖と戦いながらも、首尾よく遺体を回収した一行。遺体を車に乗せ、帰路に就こうとしたその時、死んだ男の娘・マナが父の亡骸を奪い返そうと襲ってきた――。
マナはなぜ父を食ったのか?
その時、テヲノは……?
一風変わった異世界を舞台に、奇妙な二人の関係が紡がれる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!僕らは人を食べられるだろうか
「人食い人種であり、永遠とも言われる寿命を持つと噂されるマグ族の一人が死んだ」ということで調査に出向くことになった言語学者の主人公の話。キーとなるのは無くなったマグ族の娘『マナ』だ。
この話は異文化との関わりについてのものになる。マナが行ったマグ族の文化、『食人』に対する主人公の考え方がメインに思える。
ファンタジー作品ではあるが、世界観が難しいということはない。文章がとても巧い作品なのですんなりと情報が入ってくる。この作品が訴えかけてくるものだけに集中できることだろう。
この作品を読み終えた後、是非考えてみて欲しい。自分は人を食べられるだろうか。と。 - ★★★ Excellent!!!高いレベルで洗練された、文学的なエンターテイメント作品
人を食べたことがあるだろうか?という強烈な吸引力を持った文章で幕を開ける本作は、洒落た一人称の語りによって、文学作品のような雰囲気になっていますが、それでいでシーンに次ぐシーンによって読者を飽きさせないエンタメ的な構成となっていました。
ハイファンタジーであるから、世界観や設定の説明が必須ではあるものの、それも物語のなかで自然に行われており、見せ場である冒険のシーンまでの展開が早いのが好印象でした。
登場人物たちの行動や言動ひとつひとつに信念があるから、物語に説得力と現実味がありました。本作はフィクションですが、描写の細かさもあいまって読者に現実と信じ込ませるには十分な力を感じました。
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