丸いレンズが護ってくれたのは、降り積もった記憶を透かし見る不思議な目
- ★★★ Excellent!!!
他者の記憶を覗くことのできる女子高生・澄花ちゃんと、永い時を生きる眼鏡屋の魔法使い・新淵さん。
この二人を中心に展開していく、心温まるヒューマンドラマです。
人と違う力を持つ澄花ちゃんの苦しさが丁寧に描かれ、深く共感しました。
他人の過去、それに触れることの怖さ、ひいては他人と関わることの難しさ……
例え不思議な力を持たなくとも、誰かと関係を作っていく中で生まれる距離感は、きっと多くの人に覚えのあることでしょう。
「人の記憶」というものの重さが、本作の重要な要素であると感じました。
楽しい記憶、辛い記憶、悲しい記憶……時には忘れてしまいたいと思うほどのことも、人生では起こり得ます。人生が長ければ長いほど、そうした経験は増えていくでしょう。
そんな記憶と、どう向き合うのか。
簡単に答えの出せない問いだと思います。
作中で何度も登場する、丸いモチーフのものが印象的です。
新淵さんの眼鏡、彼からもらったレンズ、眼鏡屋さんの名前にもなった月。
どれもこれも、澄花ちゃんにとって大切なものです。
新淵さんへの淡い恋心から始まって、少しずつ成長していく彼女の姿が眩しくて素敵でした。
本当に素晴らしい作品でした。おすすめです!