少年たちの友情と成長が眩しい、爽やかで深いアラビア風冒険ファンタジー！

城主が討たれ、敵軍に包囲されたワルダ城。城と城主の娘ザイナブを救うため、傭役軍人（マムルーク）の少年ギョクハンは援軍を要請する旅に出ます。
同行することになったのは、酒酌み奴隷の少年ファルザード。
はじめはいがみあっていた二人ですが、次第にギョクハンはファルザードの賢さを、ファルザードはギョクハンの強さを認めるようになり、助けあって友情を育んでいきます。これぞ王道これぞ胸熱！
また、二人は旅先での出会いや事件を通し、何が正義で何が悪なのか、そもそも絶対的な正義や悪など存在するのかという問いにぶつかります。生き生きと描かれる、二人の衝撃や葛藤や苦悩。
いっぽう、二人が敬愛するザイナブはどこまでも優しく強く聡明で、おしゃべりな絨毯商人ジーライルや謎のひげもじゃ男アズィーズにも惹かれずにはいられません。
子どもの頃は『アラビアンナイト』に夢中になり、いまは『アルスラーン戦記』の大ファンになった私は、豊かな知識と文章力で描かれるアラビア風の世界観にも酔わされました。広大な砂漠、煌びやかな都市、炊き込み飯（ポロウ）や巻き物（シュワルマ）や炭焼き肉（ケバブ）といった、文字を見るだけでおなかが空いてくるような食べ物――！
緊張感や臨場感や躍動感にあふれた戦闘シーンも見所で、ギョクハンの無双ぶりに拍手喝采したくなるはず。
深いテーマを孕んでいながらも文句なしにワクワクドキドキさせてくれる、爽快な友情&冒険&成長譚です！