概要
「お国のため」という大義の裏で、「母の穏やかな笑顔と愛する日本を守るために逝く」という切実な本音。そして、「自分が死んだあとも寂しがらないでほしい」という願いを込め、三郎は手紙の最後にこう書き残した。
——「おっかさん。もし庭に咲くホタルブクロの花が咲いたら、どうかそれを私だと思って話しかけてください」
出撃から一年後の夏。復員した整備兵の田村によって、検閲を免れたその「秘密の手紙」がようやく母キヨのもとへ届けられる。
悲しみと絶望のなかで生きていたキヨは、手紙を通じて息子の真意と深い愛情を知る。そして庭にひっそりと咲くホタルブクロの花を通
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- ★★★ Excellent!!!特攻隊員として散った息子と母の、幻の遺書と奇跡の再会を描く感動作。
胸を締め付けられるような、あまりにも優しく、そして切ない物語でした。
戦時下という逃れられない過酷な運命の中でも、母子を繋ぐのは大義名分ではなく、日々の暮らしのなかにあった温かな記憶や、互いを思いやる泥臭くも純粋な愛情でした。あかぎれだらけの手、夜道の蛍、そして隠された本当の気持ち。細やかな描写の積み重ねが、読者の心に深く染み入ります。
消されたはずの言葉から明かされる息子の本心と、一年越しに届いた手紙の描写には涙が止まりませんでした。絶望の底にいた母親が、ホタルブクロの花と光を通じて三郎の愛を受け取り、最後にはしっかりと前を向いて笑顔を取り戻す結末に、救いと確かな温もりを感じました。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!危険な小説! 電車で読むべからず!
普段は、コメディタッチの歴史ものを書いて、読者のお腹をよじれさせているてっぺいさんですが、今回は、手紙を題材に感動の短編を執筆されました。コメディの舞台を例にあげるまでもなく、笑いと涙は表裏一体であると思いますが、本作はまさにそれ、楽しいお話を書ける人は、こんな泣かせもできるのだと改めて感じました。
主人公は、明日特攻に飛び立つ宮川三郎伍長19歳。死地に赴く前夜に、検閲用に書いたの形ばかりの遺書と別に、母キヨへ、自身の正直な心情を綴った手紙を書き、整備係の田村伍長に託します。
そして、翌昭和21年6月に田村氏がキヨを訪ねて手紙を渡し、「一人で読んで下さい」と。
はい! ここで一旦…続きを読む - ★★★ Excellent!!!明日、私は征きます
一度振り上げた拳。
何事も成さずに下すことは許されない。
死なば諸共。
一億総玉砕。
――――うそぶく本人は、どうせ死ぬ気なんかないくせに。
どこぞの誰かのメンツや、ごキゲン取りの成れの果て。
サル山以下の決議の結果、飢え、倒れ、散るは市井の人々。
これは戦時にとどまらない。割を食うのはいつだって、力なき者たち。
そう。明日の「栄光」を覚悟する、二十に満たぬ三郎のように。
しかし誰にいくら強要されようとも、全体の前に個。体温があり、鼓動を打ち、想いを持つ。
なんのために生きるか。
逝った者、残った者、遺された者。
作中の彼らは、間違いなく熱く生きている。
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