概要
炎は街を焼いた。けれど、人々の希望までは焼けなかった。
幾度もの大火に見舞われながら、不屈の意志で立ち上がってきた函館。本作は、明治から令和まで約150年にわたる街の歴史を、炎に翻弄されながらも懸命に生きた名もなき人々の視点から描く歴史物語である。商いを失った商人、逃げ惑う遊女、街の再建に挑む技師、昭和九年の大火を生き延びた家族。それぞれの時代に刻まれた悲しみと希望が、街の記憶として重なっていく。やがて現代の高校生が歩く函館の街並みにも、幾多の苦難を乗り越えた人々の足跡が息づいている。炎は街を焼いても、人々の希望までは奪えない。再生を繰り返してきた函館の歴史を通して、人間の強さと故郷を守る意志を問いかける物語である。