シタ妻の不倫旅行中の自宅売却というインパクト抜群の導入からスカッとした展開を期待しそうになりますが、実際はここから四者それぞれで視点が切り替わりながら物語はじっくり進みます。
爽快さを求めると期待外れになりますが、読み進めるに従い、サレタ側とシタ側の状況で開きが広がるのをじりじりと感じさせます。
そしてシタ側二人が不貞後は懸命に生き続けても、最後まであるものは取り戻せなかったところに、本作の『ざまぁ』が表れていると思います。
それでもサレタ側二人が再出発するまでに失った労力と時間、シタ側二人の間の子供が環境の変化に翻弄されているのを考えると自業自得としか言えません。
完結おめでとうございます。
仕事も失い、シタ側を徹底的に潰していくという分かりやすい流れでは無いですが、ジワジワと苦しんでいく様は見れるかと思います。
フィクションにありがちなザマァ感はありませんが、長く、永遠に続くであろうシタ側の心理描写が見れます。
好きの反対は無関心。幸せになる事が復讐という所まで描いても良かったかなぁ?とは思います。
自分たちがついた積み重ねた裏切り、嘘が、自分たちを苦しめるという所なんかはなかなか無い表現だったかと思います。
モヤモヤする方もおられます、再婚後の笑い合ってるの見たらイライラしますが、最後はスッキリ出来るかもしれません。
サレ側の幸せを見てしまう描写が最後まで無かったのは、残念でしたね。
多分みなさんがスッキリしないところはそこなのかな?とは思います。
シタ側の恋愛が、自分の裏切りによりダメになったり、サレ側を見かけてしまうなどがサイドストーリーでも描いてもらえたらなぁとはおもいます。
サレ側からみると信頼関係を損なったシタ側パートナーを淡々と断罪し新たな人生を生きていくストーリーです。作者様の豊富な法律、行政、労務などの知識が文書の至る所に散りばめられ、大きな盛り上がりもなく飄々とシタ側は断罪されます。
それはそれで良いのですが、むしろシタ側視点に立つと一層物語は面白くなります(人によっては不快でしょうが)
シタ側は欲望をコントロールできず、パートナーがどう思うか想像力も欠如し不倫や性交渉など続けていたらどういう事態が起こりうるか無責任に不倫を継続し、いざパートナーにバレたら慌てて動揺しすがって拒絶され諦めて離婚に同意していきます。ここらへんの心理描写も淡々と進んでいきますが、それが妙なリアル感を伴います。
自分たちのことばかり考えていたシタ側が迷惑をかけた相手(サレ側)のことを慮って離婚を決断するのも精神的な成長を感じますが、まさかの妊娠発覚!
お腹の中ですくすく育つ罪無き胎児のために様々な自制をしてちょっとずつ親になることとはどういうことか?と自問自答していく姿は応援したくなります。
よくある浮気・不倫者はサレ側を救済しシタ側はざまぁされて終わりが多いと思いますが、シタ側にもフォーカスを当ててその成長を綴るこの小説は人間愛に溢れた小説と思います。
この4名がどういう結末を迎えるのか更新がとても楽しみな小説です。お勧めです。ぜひご一読を。