概要
父子三人が貫いた義は、蝦夷の風になった。
幕末の動乱期、浦賀の海に生まれた中島三郎助は、黒船来航の衝撃を胸に刻み、海軍技術者として日本の海防に生涯を捧げた男である。だが、幕府は崩れ、時代は彼の覚悟を置き去りにして進んでいく。それでも三郎助は、恩ある幕府への義を捨てず、病を押して再び海へ戻る道を選ぶ。長男・恒太郎、次男・英次郎もまた、父の背中に宿る“義”を受け継ぎ、共に蝦夷地へ向かう。
五稜郭に掲げられた蝦夷共和国の旗の下、三郎助は千代ヶ岡陣屋の守備を任される。そこは、勝ち目のない戦の最前線。だが彼は静かに言う
――「ここが我が死に場所」。
やがて訪れる五月十六日の夜明け前。三郎助は砲を放ち、刀を抜き、最後まで前線に立ち続ける。父の倒れる姿を見た恒太郎と英次郎は、涙を拭い、父の義を継ぐために敵陣へ斬り込んで散る。
本作は、時代に取り
五稜郭に掲げられた蝦夷共和国の旗の下、三郎助は千代ヶ岡陣屋の守備を任される。そこは、勝ち目のない戦の最前線。だが彼は静かに言う
――「ここが我が死に場所」。
やがて訪れる五月十六日の夜明け前。三郎助は砲を放ち、刀を抜き、最後まで前線に立ち続ける。父の倒れる姿を見た恒太郎と英次郎は、涙を拭い、父の義を継ぐために敵陣へ斬り込んで散る。
本作は、時代に取り
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!父から子へ受け継がれた「義」
黒船来航から箱館戦争まで、激動の幕末を一人の武士の生涯から描いた物語。
特に印象に残ったのは、中島三郎助が単なる「旧幕府側の武士」として描かれていないところです。
黒船を見て日本の海防の遅れを痛感し、異国の技術を学び、造船や海軍の近代化に尽くす。それでも最後には、長年仕えてきた幕府への「義」を捨てず、息子たちとともに千代ヶ岡へ向かう。
そして父の背中を追う恒太郎と英次郎。
最後の戦いで三人が並んで戦う姿は、悲しいのにどこか美しい。
「好きに生きよ。だが……義だけは……捨てるな」
この言葉に、三郎助が生涯をかけて守ろうとしたものが凝縮されているように感じました。
勝者の歴史ではな…続きを読む