概要
千秋は閉ざされた秋に死んだ。
厳密な秋の定義を僕は知らないが、僕たちにとっての繰り返される秋は、九月十五日から十一月十五日までの二ヶ月間のことだ。秋がはじまり秋が終わると、それ以前の記憶を残したまま、ふたたび二ヶ月前の九月十五日にいる。最初の九月十五日、私は高級万年筆などを主力商品にして、文具の製造や販売を行う文具メーカーの会社員だった。だった、と過去形にしてしまうのは十回目の秋くらいからは、もう初日さえも会社に行かなくなるからだ。仮に会社に籍を置いているにしても、そこの会社員と名乗ることにはためらいがある。会社帰り、たまにひとり足を運ぶ居酒屋で隣の席に座っていたのが、千秋だった。
「永遠って信じますか」
「永遠って信じますか」
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