救急医療の緊迫した描写を読み進めていると、主人公の「らしくない失敗」が少しずつ引っかかってきます。そして患者の過去が明かされた瞬間、それまでの処置の光景まで別の意味を帯びてくる構成が印象的です。医師として患者を救う立場と、過去の出来事への「罰」を望む一人の人間。その二つが同じ人物の中に存在していることが、この短編の不穏さを強くしています。最後の報告の一言にも、主人公の感情が滲みます。
作品の中で描かれるものは、リアルさがとてつもないです。リアルだからこそ、想像できてしまう怖さ。そこに当てはめられる偶然、チャンス、人の怖さが全て合わさり、この作品よ恐怖度をあげています。人って怖いんですけど、怖くないものだって思い込んでいる場所ってたくさんあると思うんです。この作品を読んだ後に、怖くなる場所はどこなんでしょうかね?
その道のプロ。プロの知識と現場経験は、最強なのです。看護師の方々。尊いお仕事。医療の現場におけるプロです。熟知しているのです。命の、扱い方を。主人公の看護師の方。ある不幸に見舞われました。でも「神」はいたのです。確かに、彼女の味方として。専門知識の描写があるからこそ、もしかしたら、次に病院に行くことが怖くなる、かも。ボディブローのようにジワジワくる恐怖を、ぜひ味わっていただきたい作品です。
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