概要
この町の家は、歌で組んである。
鵜川の家は歌で組んである。組んだ歌を忘れれば、家は輪郭を失っていく。
志乃は補修専門の詠士だ。新築の合唱に呼ばれたことは一度もない。声に癖がないので、どんな声にでも寄せられる。それが補修屋としては一級だということで、つまり彼女の声で組まれた家は、この世に一つもない。
築六十年の平屋。薄れかけた縁側の柱は、先月亡くなった祖母が自分で歌った一本だった。孫は言う。「変えたくないです」。
歌を録っておく方法はない。志乃は、祖母の声を覚えている人に会いに行く。
志乃は補修専門の詠士だ。新築の合唱に呼ばれたことは一度もない。声に癖がないので、どんな声にでも寄せられる。それが補修屋としては一級だということで、つまり彼女の声で組まれた家は、この世に一つもない。
築六十年の平屋。薄れかけた縁側の柱は、先月亡くなった祖母が自分で歌った一本だった。孫は言う。「変えたくないです」。
歌を録っておく方法はない。志乃は、祖母の声を覚えている人に会いに行く。
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