物置きの向こう側
近々、今の家を出て行くことになり、本来せっかちのわたしは今からあれやこれやとやり始めている。
物置きはほぼわたしのスペースで、まずここからやるか、と冬空の下、片付けていたら、文庫本やら昔書いた原稿やらと紛れて、、、
あはは
出てきたよ、同人誌。
10代のころやってたんだよね。
せっせと原稿用紙に物語を書いては、送料分+コピー代の切手を同封して、2ヶ月に1回だったかな?送られてくるのをそわそわ楽しみに待っていた。
それぞれの批評なんかも載っていて、毎回叩かれる人褒められる人、誤字脱字を見つける達人。
ウブだったわたしはそりゃあもう、楽しくて楽しくて、そんな初めての世界で、今思えば1番のびのび文章を書いていた時期だったろうと思う。
自発的に何かに手を出したのも、文章を書くことが初めだったな。
4つ上に器量良しの姉がいるが、器量に加え頭もよく(いろいろあって晩婚だったが)
対してわたしは、子供の頃からのへそ曲がりな上に意固地な性格、大人はみんな持て余していた。
何をやってもだめな子で、いつも姉の真似ばかりしていた。前にお手本がいるのだから、そのとおりにしていればわたしも姉の様になれると思っていた。それが正解と信じて疑わなかった。
そんなわけないのにね。
見事なまでの挫折の嵐である。まず根本的に違うのだから。
それを理由にするわけではないが、10代のアホだったわたしは、どうせ結婚も出来ないだろうし、それならいっそ夢である作家になって生涯自分を養っていこうではないか!と、あながち絵空事でもなく真剣に考えていたのだ。人生なめてる。
結局、同人誌も数年で廃刊し、もちろん夢は散って作家になんかなれやしなかったのだけれど、なんていうか、情熱って素晴らしい。
なんやかや、30半ばまでぽつぽつと書いてたな。
捨てたと思っていた同人誌が1冊だけ残っていて、自分の昔の文字をなぞると、こんな人生でなんだか申し訳ないやら情けないやら。
すまんな。
まあ、今夜はこれを肴に飲むしかねえ。