言葉を失いました。
テレビドキュメンタリーを観ていた私は画面の前で。
剣道世界選手権。日本の大将の前に立ちはだかるのは、巨漢選手。でも、彼は逃げない。
様々なプレッシャーを、勝ちたいという欲すらも捨て去った先にある「無心」の境地。
そこから放たれる一撃は、もはやただの剣技とは思えませんでした。
人間が、自らのすべてを懸けて、極限まで精神を研ぎ澄ませた時にだけ放てる、魂そのものの閃光。その美しさに、鳥肌が止まりませんでした。
リアルは、フィクションを、夢を、超えていく。
どんな設定も、どんな展開も、この現実の一撃から放たれた熱量、そこに至る真実のストーリーには敵わないじゃないか、と。
でも、不思議と、火がついたんです。
私が書くべきは、これだ、と。キャラクターが単にありがちな格好の良い技を放つ、ではなく、ただ、積み上げたすべてを懸けて放つ「一撃」を。
キャラクターが、たとえ物語であったとしても、そこにある人生を懸けて貫きたいと願った「生き様」そのものを。
こうして、突如、書き始めた新たな物語。評価されたいというものでもなく、むしろ自己満足すらできない可能性がある物語。正直、誰の目にも触れないまま終わるかもしれません。
でも、それでいい。
雑念を振り払い、私が「美しい」と信じる物語を、ただ無心で打ち込みたい。
その一撃が、いつか、いつの日か、誰かの心に届くものに昇華出来れば。
熱くなりすぎましたが、それくらい心を揺さぶられました。
ではまた、物語の世界で。