皆さま、花金の夕方、いかがお過ごしでしょうか。ようやくちょっと涼しくなってきた感じですが、来週は月火とまた猛暑日になるらしいですね。もう9月の声を聞きますし、そろそろ最後の一撃にして欲しいものです。
今日は、いやーな気持ちで遂行していた裁判に目途が立ったのでホッとしております。ちょっとしたミステリーが書けそうなのですが、なにぶんにも実話なので、そういうわけにもいかず、分かんないように細部をいじってノートに書くだけにしますね。
時は今から半年ほど遡り、わたくしのところに、顧問先であるゼネコン担当の若者から連絡が入ったところから始まります。
担当者「先生、ウチが持ってるマンションなんですけどね、建て替え計画中で、賃借人の皆さんに立退料払って、年末までに退去して頂いてるんです」
オダジマ「あー、そんなこと言ってましたね」
担「私が交渉して殆ど同意が取れたんですが、一室だけ全然連絡が取れない先があるんです。身体の悪い80代のおじいさんが一人で住んでるんですけどね」
オ「入院中とか、施設に入ったとかじゃないんですか?」
担「いや、不定期ながらも家賃は入ってきますし、出入りはしてるようなんですよ。手紙入れとくとなくなってるし」
オ「そうなんですね。今『不定期』って言ったけど、賃料滞納あるんですか?」
担「はい、現状で2か月分ですね」
オ「それじゃ、しばらく連絡絶って、3か月分貯まるの待った方がいいですね。3か月なら解除できるから。そうしたら、『タダで追い出されるよりは』って、立ち退きの話も進むんじゃないでしょうか?」
担「あ、いいですね。是非そうしましょう」
という事情で、しばらく待って、わたくしから、「賃料が3か月分滞納しています。2週間以内に払わないと契約解除したうえで、裁判所に明渡の訴訟を打ちます」という、まあ、いつも書いている解除通知を書き、でも立ち退き交渉が主目的ですので、「とはいえこちらも法的手段は取りたくありません。話し合いで穏便に立退きして貰うことも考えていますし、その条件提示もしたいので、本書簡が届いたら当職か担当者あてにご返事ください」と付け加えた内容証明郵便を発送しました。で、通知はちゃんと着いて受け取ったんです。
オ「2週間たったけど、入金ありました?」
担「ありません」
オ「じゃ、今日で契約解除だ。そっちに連絡は?」
担「全然ないです」
オ「こっちにもないですね」
担「先生、これどうすればいいんですか?」
オ「まあ、『話し合いするつもりはない』ということでしょう。こうなると正攻法で訴訟打つしかないですね」
担「すごい時間とお金がかかるでしょう。嫌だなー」
オ「そんなの僕だっていやだよー。判決取って、強制執行で病気持ちの80過ぎのおじいさん追い出すなんて『ホームレスになれ』って言ってるようなもんじゃない? 人道的にどうかと思いますよ」
担「じゃ、あきらめるんですか?」
オ「まあ仕事だから、そうもいくまい。訴訟になったら、裁判所を間に入れて話し合いしましょう。いつでも追い出せる状態にしたうえで、立退料払って出て貰うように言って、それで決裂したら、本意ではないが執行するほかないですね」
というわけで、二人とも、「いやだなー」と言いつつ仕方なく訴訟提起。訴状は無事に届き、第1回目の弁論が9月29日に入りました。が、相変わらずなんの反応もありません。
と、そうしていたら、今日、とある法律事務所から連絡が?!
法「オダジマ先生ですか?」
オ「はいそうですが?」
法「例の訴訟の被告の奥さんが、今日、訴状をもって相談にいらしたんです」
オ「へ? 奥さんなんていたんですか?」
法「はい、別居していたそうなんです」
オ「あ、そうなんですか。でもなんで奥さんが訴状持ってるんです?」
法「それがですね……、被告本人は、すでに去年の3月に亡くなっているそうです。奥さんは時々部屋に来て荷物の整理などしていたんだそうで、今回訴状を受け取ってびっくりして来所されたんです」
オ「なんですとー!? じゃ、いままで1年半、家賃払ったり通知受け取ってたの、奥さんだったんですか?」
法「そういうことになりますね」
オ「いや、それ早く言ってくれれば話し合いできたのに、とっくに死んだ人相手に訴訟起こしちゃったじゃないですか、裁判所に恥ずかしいなあ……」
法「なるべく片付けて年末には出ていくそうですから、滞納賃料は負けて下さい」
オ「あ、まあ、そうですね。原告会社と打ち合わせして回答します」
という驚愕の展開。手紙も全部受け取ってたなら連絡してくれよ……。
担「そりゃ本人に連絡つかないわけですね」
オ「それで、相続放棄されたらどのみち滞納賃料なんて取れないから、『とにかくできるだけ片付けて出ていく。残置物はこっちで勝手に処分する。1月に明渡確認出来たら訴訟は取り下げる』って内容で和解していいですね?」
担「ああ、もちろんですよ。もともと立退料払って出て行って貰うつもりでしたし、取り壊すわけだから残置物なんて構いません」
と、結局収まるべきところに収まり、二人ともホッとしたのですが、もちろん裁判は止まりません。こういう時に使うのが「弁論期日延期の上申」です。
オ「あ、書記官ですか。あの件なんですけどね、被告が既に1年半前に亡くなってたんです」
書「えーっ?」
オ「なので、とりあえず9月29日の弁論は取消にして下さい」
書「それは仕方ないですね。それでは相続人を新たな被告にして、『訴訟承継の上申』を出してください。添付資料はあれとこれと……」
オ「あ、いや、そんな面倒なことはしたくないんで、年末に出ていくって言ってるんで、次回は来年の2月にして下さい。年明けに確認取れたら取り下げますから」
書「まあ、それがこっちも面倒がなくていいですね! じゃ、『2月に延期して下さい』っていう上申を出してくださいね」
オ「はいっ、今すぐに!」
という案件でございました。上申書は10分で作って出しましたよ。
この流れなら穏便に進みそうですね。わたくしも病気のおじいさんを寒空に追い出して家財捨てるとかしたくないですからw、ホッと致しました。
けど、訴訟は取り下げるんだよなあ。。これ、成功報酬貰えるんでしょうかねえ。。
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先週金曜日にノートでお礼を言わせて頂いた、「【酔っ払い小説2026】 刑務所のある街の人々」
https://kakuyomu.jp/works/2912051605756213228/episodes/2912051606147925042 に、また沢山の読者様から、♡や応援コメント、★や素敵なレビューコメントを頂きました。ありがとうございました!
酔っぱらって、ネタ一つで書いた掌編だったので、あまり期待もしていなかったのですが、案外ご評価頂けて、とても嬉しいです。そのうち、「熱帯夜のち、シトラスの風」を抜きそうですね。
お星様3つを下さったのは、
この美のこ さん
幸まる さん
田鶴 さん
しゃもこ さん
舞見ぽこ さん
ここグラ さん
高井希 さん
梅松竹彦 さん
カノ さん
dede さん
の皆さんです。大変ありがとうございました。
また、本作をよく読みこんで下さって、作品の特長を的確に捉えた、素敵なレビューコメントを下さったのは、下記の皆さんです。
・猫小路葵 さん
レビュー
https://kakuyomu.jp/works/2912051605756213228/reviews/2912051606795590530→ 猫小路さんは、ホラーや現代ドラマを主に創作され、また手書き風の印象的なアートの描き手ですね。わたくしも「ねー、書いてよ」とおねだりして、いくつもアートを頂いています。お作はどれもいいですが、今日ご紹介するのは、代表作「夏来にけらし」
https://kakuyomu.jp/works/16818792440031895063 「夏来にけらし」は、百人一首にも入っている持統天皇の有名な句ですね。主人公の「僕」が病院の前の停留所でバスを待つ間、「夏来にけらし」の句を覚えながら、病院の屋上でシーツを干す、憧れのあの人を見上げるという、淡い恋愛小説です。2000字の掌編ですので、すぐ読めますから、是非!
・瑞唏よう子 さん
https://kakuyomu.jp/works/2912051605756213228/reviews/2912051606838425258→ SFやミステリーの実力派で知られる瑞唏さんの最新作は、大ヒット御礼中の「視窓のリメイク」
https://kakuyomu.jp/works/16818093074889097361 ですが、こちらは拝読していないので(すんません)、今日ご紹介するのはその一つ前の長編ミステリー、「深海の呼吸」
https://kakuyomu.jp/works/16818915110307681352 これは読みごたえありです。舞台は、本州から遠く離れた離島、久遠島。そこに、都会で傷ついた主人公相川湊人が民宿を経営するために帰ってきます。島で出会ったのは、生まれてこの方ずっと島で暮らしている水城かなえ、そして、湊人の幼馴染、頼れる兄貴分である鳴海颯太。湊人は、そこで颯太が絡んだある謎の解明に挑んで行きますが。。まるで横溝正史のような、サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても秀逸な本作。是非どうぞ!
・ましら佳 さん
https://kakuyomu.jp/works/2912051605756213228/reviews/2912051607138042028→ ましら佳さんは、エッセイ・ノンフィクションやヒューマンドラマがお得意で、その自己開示的で正直な女心の描写にはいつも笑わされておりますw お勧めは沢山あるのですが、わたくしが好きなのはやっぱりこれ、「香港夢中人 香港なんじゃこりゃ日記」
https://kakuyomu.jp/works/16818093093693058025 これは名作です。ましらさんが、90年代から20年来通い詰めた香港での出来事、珍道中を綴ったエッセイ集です。一話完結で40話ほどありますが、みんな捧腹絶倒、ほんとに楽しい作品です。また、時代による香港の変化などもリアルに伝わってきて興味深いですね。わたくし、勿体なくてチビチビ読んでるくらいですw 一話読むごとにコメントを入れるんで、一気読みできないんですよ。みなさんも、とりあえず数話だけでもどうぞ!
・和歌地ビール さん
https://kakuyomu.jp/works/2912051605756213228/reviews/2912051607217647745→ SF、ホラーのヒットメーカー、和歌地ビールさんのお作でおすすめは、わたくしが獲れなかった(くやしい、今でも納得いかんw)、カクヨム10コンテストの受賞作、「【カクヨム10テーマ小説コンテスト受賞作】1000年ぶりに目覚めた魔人、科学技術が凄すぎて願い事が一つも思いつかない~魔法のランプは未来都市のAI監視網を突破できるか?~」です。
https://kakuyomu.jp/works/2912051595230092004 って、なげーっ! タイトルなげーよ! それはさておき、さすが受賞作だけだって、アイデアがとても斬新で、文章力も確か、中編を一気に読ませますね。
ランプの魔人であるハキームが、1000年ぶりに目覚めたら、科学が発達し過ぎて、役立たずになっていた。空飛ぶ絨毯なんてドローンがあるし、魔法の力はパワードスーツがあるもんねー。っていう世界で、主人公とユウキに会いますが、「俺なんか役立たず。。」と嘆くハキームに、ユウキは、「僕をAIから隠して」と言って、本心はAIの支配から脱したいのだと願います。そこからの逆転劇が見事。アラビアンナイトやグリム童話など、過去の名作を読み込むと、創作のタネが転がっているのかも知れませんね。これは名作です。是非ご覧になって下さい。
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いやー、またまた長文に。。
すっごい時間かかった。仕事しろよw
今週はこの1週間のレビューのお礼がありましたから、金曜日にノート書きましたが、しばらく新作も出ないでしょうし、これからは不定期にしますからね。ご自分で「今日は花金だなあ…」って自覚して下さいねw
今日の写真は、顧問会社のオチャメな会長(83歳)から、「これ、池袋西武で見つけたんだけどさ、先生にそっくりだから買っておいたよ」ってことで頂いた人形2体です。「買っておいたよ」ってw あとヒゲは会長がマジックで書いたそうですw
ネジを巻くと、ちゃんと首振りながらダンベルカールと腕立て伏せをするんですよ。事務所の本棚に大事に飾ってあります。
マッチョグッズはまだあるので、また機会を改めてご紹介しますね!
それではみなさん良い週末をお過ごしください!