わだつみ

私は、高校時代、「思い残す事のない程の美」「至上の美」と呼べる景色を追い求め、スケッチを描く、美の求道者のような少女、朱里に出会い、その生き様に惹かれ、彼女の美を求める旅を共に行…

※時代想定は昭和初期。戦前エス文学幻想詩文をイメージして描きました。とある姉妹が永遠の誓いを果たしに海に向かう前に交わした、最後の書簡を描いた掌編です。

※百合展140字小説部門投稿の三作品を加筆して、投稿したものになります。各話に繋がりはありません。 黒百合の刀-執念-：仇討ちに全てを捧げ、仇の女に強く執着する武家の少女の物語…

登場人物 宮：田舎町の中に佇む小さな神社の「忘れられた産土神様」の少女。土地の民に信仰を忘れられつつあり、このまま、消えてしまう事を危惧していた。過去に救えなかった民の事で心の…

昭和初期の時代。 とある地方の村に住む、内気な少女だった「私」は、その村の、曼殊沙華の咲き乱れる一本道に、霧が出て、朝露が多く草木につく朝は、「灰白色の髪に、死に装束の女」が現れ…

　昭和時代前半の東京に、二人組の女性歌手のデュオが降り立った。某国から、日本での公演に招かれて。 　一人は、日本人の女。そして、もう一人は、星の淡い銀の光を束ねたような、白銀の髪…

時代は昭和中期。 昔、父方の故郷の村に、里帰りしていた時に会った少女、莉子と、一華は親友となり、父の故郷への里帰りの度に、遊ぶようになっていた。 その里帰りが途絶えて、直接会う事…

憧れの、格好良い先輩に、昨日の告白をあっさりと断られた「わたし」。 しかし、諦めきれずに詰め寄ると、先輩は明らかに動揺し始める。明かしてはならない恋を、先輩は隠していると気付いた…

※初のクリスマス記念投稿百合作品。 クリスマスの夜、厳かな音色のコンサートが開かれている教会の礼拝堂の外で、「私」は、愛する女性-「聖母」を待っている。 前世-禁教令で、信じる神…

1960年代後半、10月のフィリピンの沖。女流作家の早坂志乃（はやさか　しの）は、とある花を抱えて、船に乗っていた。 南方の海に特攻隊員として散っていった、「自分の愛した女性が、…

病弱な令嬢の「貴女」にお仕えする「私」。夏、別荘地で、二人で遠くに打ち上がる花火を見つめながら、花火には無数の色があると「私」は思う。そして、「貴女」の中に秘められた、「表情」と…

太平洋戦争後、二つの大国によって南北に分断された日本。 南北の境界線となっている、鉄条網の近く、「南側」に暮らす幼い日の「私」は、壁の向こうの「北側」の村に住む、同い年の少女と出…

苦しい環境に生まれ、漠然とした生きづらさを感じながら、学校の片隅で身を寄せ合うようにして生きてきた二人の少女、葵（あおい）と静留（しずる）。静留は、人間の寿命は長すぎる、生きれば…

100年以上前の欧州某国で「最も美しい少女人形」として作り出されたアンティークドールのエルヴィーラ。彼女は国を転々として日本に渡り、太平洋戦争の時代、とある少女と果されない約束を…

「桜の下のオフィーリア」。そう呼ばれる怪奇現象が、その街には古くから伝わっていた。一本の桜がほとりに立つ、とある池。そこでかつて、呪われた短歌を遺して身を投じ、命を絶った女学生が…

女性自衛官の母親×彼女を尊敬して慕う娘の、悲劇的な結末へと向かう恋物語。 ※本作品が処女作です。