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メメント・モリ

【花天月地】 第42話【想う夜に】では、

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それでも生きてる徐庶は、死んでしまった龐統よりも、近いところにいるはずだと。
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という一つの死生観が出て来ます。
これは心ならずも魏にやって来て、再び争いに巻き込まれている自分の運命を呪っている徐庶が心配で、何か陸遜は彼に言いたいのだけれど、全く縁もゆかりもない人なので、自分などが何を言っても声が届かないのではないか……という恐れの中で、

それでも何か声を掛けたい、と陸遜が思えた理由に、

龐統の死が彼にとって非常に重くて苦しいものなのであるからこそ、

それを考えたらあまり親しくない徐庶に声をかけるなんて、簡単じゃないか、と開き直れる心境を描いています。

龐統の死はうちの陸遜にはひどく堪えているのですが、ただ単なる苦しい傷だけにはしなくなかったのですね。

憎み合って死に別れてたわけではない以上、何らかの形で龐統の死も、陸遜に力を与えるものにしたいなと私は強く思っているので、これはその一つの表れになります。



この死生観。

「生きている人間は結局死んだ人間よりも近い場所にいる」

実は私の大好きな海外捜査ドラマがあるのですが、
かなり長いシリーズものなのですが、主人公が何代か変わっているものなのですね。
とても素敵な海外捜査ドラマなのですが、ある時、このドラマ何を思ったか私の大好きだった主人公を殺される役にして主役交代しやがったんですよ。

裏話として聞くと、この主人公役の俳優さんがプライベートな理由で降板しなければならなかった、本人の希望だったらしいのですが、

だけどそれにしても殺すことはねーだろ!!!!!!😇

いや……実は海外ドラマって、たまにあるのですよ。
実際の俳優さんが個人の事情で降板する時に、役ごと死なせて主役交代するっていう乱暴な脚本書くパターンがあるのです。

私海外正直大好き人間ですが、あれだけはあいつらと感性全然合わねえな!! って思う部分ですわ。なんですか? あいつらにとって「行方不明」とかよりは「死亡」の方が余程マシだと思う文化なんですかね?

いやとにかく命はあれよ!!

あっさり殺しよる脚本あるんですよー。海外って!! 
ホントやめてくれ!!!
プロ相手なのに私このシーン見た時おっきい声で「どんな話書いてんだ馬鹿か!!!」って言っちゃいましたよ!! 
しかもなんか、そういうドラマでもないんですよ。

なんかありますね? サスペンス要素で、いつ誰が死ぬかも分からんようなドラマ。

百歩譲ってそういう暗い系のドラマならいいんですが、このドラマ別にそんなでもないんですよ!! どちらかというと明るい雰囲気の、非常にコメディ要素も強い捜査ドラマでその明るい雰囲気を気に入っていたから真面目に引きました。

いやいいよ。俳優さんにも事情はある。
降板はあるでしょう。だからといって役は役で、無理に殺したりするなよ。
そんなことされたら今まで見て来たものは何だったんだってならない!?

命の大切さとか!!!

死ななくてもいい人が死ぬから捜査ドラマとかがあるのでは!?😇

まあ億歩譲っていいですよ。分かりました。そういうドラマなのねあんたはで諦めます。なんと!!! このドラマ何人か主役交代してるんですが、ある日何を思ったか交代した主人公をメインにスピンオフドラマとか作りやがったんです!!!

いやだから~~~~~!!!

そうなの!!!! 命があればそういうスピンオフとか、俳優さんの事情が落ち着いたところで「あの人が戻って来た!」みたいな繋ぎは出来る訳でしょ?
でも死んじゃったら永遠にそういう可能性すらなくなるじゃないですか。

おめーそんなスピンオフ作れるなら無理に人を殺したりすんなや!! なんでもあったやろフィクションなんだから方法!! 行方不明とか! 記憶喪失とか! 撃たれて刑事としては引退するとかでもいい!! とにかく命はあれよ!!!

これが無性に腹が立って「命さえあればなんでも出来る可能性は残るんだから簡単に殺すんじゃねーよ!!」っていうのがすっごく私の中であるわけです。

私の好きな漫画家さんが、編集者に言われた言葉があって、

「行き詰ってすぐにエロに逃げるな!」って言われたらしいんですよね。

これ、素晴らしい助言だなと思うんです。
実際その漫画家さんも、何かすぐにエロに逃げそうになる時にこの言葉を思い出して、すぐ脱がすのはやめようという気になるようになったのは良かったと言ってらっしゃいましたが、

これ違うんですよ。真逆の助言として「困ったらすぐエロに逃げろ」という編集者もいると思うのです。

エロは数字を取るので、実力の無い奴は困ったらエロに逃げたら一定数の「エロければなんだっていいや」みたいな感じの人達は必ずいるので、一定数の数字は確保できるんですよ。

しかし、これには弱点があって、
要するに作品の程度は低くなります。こればかりしてると。
脱ぐしか能が無くなりますのでね。素晴らしい作品は生まれないと思います。

この漫画家さんは実力があるので、そういう意味で多分編集者の方は「すぐエロに逃げるな!」と助言したんだと思います。実力があるからこそ、もっと真剣に考えればエロくならずともいい話が書けるんだから、そういうのをしっかり描くようにしなさいと。

私はこれ素晴らしいアドバイスだなと思って、個人的にも勝手に拝借して私も何かあったらエロに逃げたりしない人間になろうなどと勝手に自分を戒めているのですが……。


これと同じように、

私がもし誰かの編集者だったら、必ずしたいアドバイスがあります。

「すぐに【死】に逃げるな!!」と。

死ねば人は可哀想だなと思う。泣く、感動する。そういう考えは良くないのです。
エロと同じです。
安易なのです。

困ったらすぐ人を殺す作品とか、これは世界規模、色んなジャンルで言いますが、あるんですよ。

殺戮系もあるけど、
不治の病系もな。

人が簡単に死ぬ点では私にとっては同じなんです。フィクションである以上は、工夫の無さでは同じなんですよ。

死んで転生系も勿論これに入ります。

スクスク人を殺すなお前らは……ってこの展開の話見るたびに思います。

私も戦記ものを扱う以上、人の死を扱うことはありますが、
それでも決して安易には死なせたりしないぞ!! という堅い誓いを持っていますので、戦記物としては私は非常に致死率低い方だと思いますね。

現実で、死は、仕方ないのです。

急な死、理不尽な死、否定できません。それは現実だから。

我々は作家です!
展開を考えられる! 想像力の持ち主!!
フィクション! 作り話だから!

どんなに頑張っても現実の死の衝撃に勝るものなど作り話では書けないから!!

もっと最後の最後まで死なずとも読者の胸を震わせるような展開必死に考えよう!!

って思うのです。


こういう想いが本当に普段から私はあるので、

【死】に対する想いが強い。

死んでしまったら終わりじゃないか……というのがすごく分かってる。

だからこそ、

このシーンで陸遜が「徐庶に言っても、きっと私の言葉なんか届かないんだろうな」と思っても、龐統の死を経験する前の陸遜は多分、そう思ったら押し黙っていたと思うんです。

「自分が言うべき言葉じゃない。自分が言うべき立場じゃない」と。

でも龐統の死を経験して、
彼の死がとても重くて、
もっと彼と話したかった……と強く強く陸遜が後悔することになったので、このシーンでは「聞いてもらえなくてもいい。もう二度と声が届かない龐統よりは、目の前の徐庶に声は届く」と、

不思議なことにここで龐統の死が、陸遜を強くする、行動力を後押しする力になっているのですね。

この図式を非常に書きたかったので、

これも非常に私の実感、【死】に対しての圧倒的な敗北感を知るからこそ、
生きてれば何でもできる!! っていう発想から生まれた言葉です。


本当に主役交代するからって作品の役ごとぶち殺す脚本書くの止めて欲しいんですよね海外……あいつらの死生観どうなってんねん 行方不明とかに留めておけば同じ都合の良さでも「奇跡の生還」とか何かあれば描けるじゃないですか。
殺しちゃったらその可能性すら永遠に失われるんですよ?
家庭の事情で俳優が降板するくらいもっと穏便な「行方不明」とか「退職」でもいいし!! 日本人の私は命があるのが一番大切だっ! と思うんですがあいつらは戻って来るかどうかも分からないくらいなら死んでしまえホトトギスの考え方なんですかね?😇 

私無茶苦茶海外各国大好き人間なんですがあれだけは本当に分からん感覚。

あんなもん脚本家が書いて持ってきたら私が監督だったら殴り合いになってでも「こんな展開させるかァ~~~~!!! ここまで見てくれた視聴者の気持ち!! 考えろ!!!💢💢」って戦いますけどね……。

本当に見た時プロの方相手なのに「馬鹿みてえな展開の脚本だな!! 二度と見ねえわ!!!」ってはっきり馬鹿と言ってしまいました。

でも絶対謝りません🥰

だからプロでもしょーもない作品を生み出す奴はおるってことだけは覚えておこうな。プロだからみんなすごいわけじゃないで。
プロでもしっかりと芯を通さないとしょーもない作品作り出してしまうんです。

視聴者や読み手を決して裏切ってはいけないんだ、という「何を書いてもいいわけではない」みたいな自分の美学はアマチュアといえども持っておいた方がいいです。




でも生きている人にどうしても言葉を掛けたい時に、
その人がその言葉を全然喜んでくれないのは分かっているけれど、
でも自分は伝えたい! って思う時に
死んでしまったあの人よりは、近くにいる。声は絶対届く。って思う発想は、明るくてポジティブで、死をポジティブに変換していて、これもかなりスッと自分の中から出て来た言葉なんですがものすごい気に入っています。


死は、人間にとって最も重いものです。


死のカードを切る時は、余程の覚悟で切って下さい。
作者が余程の覚悟で切ったのなら、それまでの作品の内容が素晴らしいのであれば、きっと辛くても視聴者や読み手は変わらずついて来てくれると私は思うのです。

でも作者などに少しでも死を軽んじるような所があったら、

私はそういう作者には絶対ついて行きたくありませんね。

このドラマ本当にこのシーンまでは描いていた内容面白くて素晴らしかったんですよ。

気でも狂ったんか!!!! って思っちゃいました😇

ちなみにこの家庭の事情で降板した俳優さん、今でも大好きです💕




このどうせ響かないんだろうなーって玉砕覚悟で徐庶に掛けた言葉。

実は陸遜の予想に反して徐庶の心に非常に響いて、
もしかしたらうちの徐庶が一番最初に少し陸遜に心を開く、きっかけになった言葉かもしれません。


徐庶は魏に来てから、色んな人に「劉備を忘れろ」「魏で生きて行くなら忘れないと生きて行けないぞ」と言われてきた人です。


陸遜は「劉備を忘れないでもいいから、とにかく命を大切にしてほしい。生きて欲しい」とこのエピソードで徐庶に声を掛けます。


徐庶は、魏に来て、
初めて誰かに「別に劉備を無理に忘れなくてもいい」と言ってもらえたことが、
とてもこの時嬉しかったのでした。


願いを叶えてもらうとか、そんな大層な事じゃなくてもいいから、

自分を肯定してもらえるだけで、本当に嬉しいことや心が落ち着くことってありますよね。

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