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きっかけ

人がキレる描写が好きなんですよね


いや違うんです。現実世界はしょうもない理由でキレたりするやつザラにいるし、キレやすい奴や不満を溜め込んでる奴がキレるのには興味ないんですよ。
そんないつキレてもおかしくないやつにキレる理由なんてないのでね


――そういうことではなく。


いわゆる、普通に生きていたらキレない人が、キレる描写です。
興味ないですか? 
ドラマとか、小説とか見ていても、

おわ!!! この人がこんなに怒るなんて!!!!

って思うキャラっているじゃないですか。
ああいうキャラのキレポイントとかを分析するのがとても好きです。

何きっかけで感情が爆発するのか。

この前話題に上がったタイタニックで、ローズが振り切れるシーンがあるじゃないですか。飛び降りようとするのではなく、ジャックを選ぼうとする理由。

なんか上流階級の皆さんで食事してるシーンで、ローズが他のテーブルに座ってるどこかの貴族の少女が、そっと膝の上に汚れないよう、ハンカチかなんかをお上品に広げる仕草をじっと見てるんですよね。

あれって多分説明は無いのですが、自分もああいう風に、なんとか上流階級の娘として見せようと(ローズの家は見た目よりかなり財政厳しいので)ああやって躾けられて来たし、このままここでこういう人たちと一緒にいたら、この人たちの中から結婚相手が決まって、自分もきっと娘が生まれたらああいう仕草をするのよって教えて、そういう風に自分が教えた娘もきっと母親になったらああいう仕草を子供に教えて行って、そういうずーーーーーーーーっと繰り返しの人生なんだ、それから逃れるのは今しか機会がないんだと「思い込んだ」から、

ジャックと一緒に行く!!! って振り切れたんですよね

まあ多分精神状態からしてあの少女の仕草じゃなくても、あの時のローズは上流階級の仕草一つ一つが癇に障ったんだと思うけど、映画ではつまりローズがキレたきっかけってあの少女の仕草なんですよね。


ああいう、キレた、というと言い方悪いですが、

要するに人間を思いがけない方向に大きく動かすきっかけになった「動作」や「言動」とかを、これかな? って分析するのがとても好き

普段そんな大きな感情を曝け出して衝動で動かない人が、動く理由っていうのも魅力や興味ありますが、大した理由だろうと大した理由でなかろうとどっちでもいいんですが、そういうのを想像したり、発見するのが楽しい


その「きっかけ」となる言動とかを魅力的に印象的に描き出したりするドラマとかあると、やはり印象残りますよね


前に書いた男女の抱きしめる抱きしめないの話の二人は、
あの時男の方が抱きしめもしないうちから言葉だけで彼女の全てを真面目に受け止めたいと思うあまり「結婚しよう」などと手も繋がずキスもしないうちから家出して来た彼女に行ってしまったことから、本当に関係性がおかしくなるんですよ。
お嬢さんの方もあれから、「私は哀れがられてるんだ、面倒見なきゃいけないと思われてるんだ」と誤解してしまって、男の前ではなんていうか……弱さとかを一切見せなくなってしまったんですよ。強い女を演じるようになってしまって、それで、男も彼女は自分を必要としてないんだなどと思うようになって、なんかこう全てが上手くかみ合わなくなってしまったんですよね。

だからあのタイミングのあの「結婚しよう」という言葉がある意味お嬢さんをキレさせた原因なんですよ。

捜査ドラマとかは勿論人間が起こす犯罪を捜査する話なので、

要するに毎回「人間が何故犯罪に走ろうとしたのか」という理由が明かされるんですよね。

その時に色んな人間のキレるポイントが映し出されるので非常に興味深くて面白いんですよ

キレやすい人とか嫉妬深い人とかが犯罪に走っても別に驚きは無いんですが、
それまで犯罪と全く無縁だった善良な人が、何かのきっかけで行動に出るのとかが魅力的に描かれてるとやはりいいですね。

あと中には絶対キレてもいいやろこれって思うのに最後までキレない人とかもいるのもまた興味深い。

陸遜なんかは私はその代表格だと思いますわ

私的には最後のも納得しての自刃だと信じ抜いているから、陸遜は最後の最後まで誰かや何かによってキレて自分の言動が変わったりしなかった人なんだと思う。

曹丕さんは恐らく「倉舒の死を喜んでるんだろう!!」って曹操様に罵られた瞬間に何か心の中でキレたのではないかと思いますな あれからなんか言動変わってそうな感じする




うちの【翡翠】のメリク君は、完全にリュティス様に「何の意味もないものだ」って言われた時に、心がもう折れてしまったのです 
色んな不満や不安の蓄積はあったけど、あのセリフがやっぱり決め手になりましたね。
決め手っていうか致命傷ですわ

メリク君的にはリュティス様に怒鳴られたり殴られたりした方がまだ自分を実感出来るんですよ。

俺にとって何ら無意味と言われるのが一番やっぱりこういう「せめて近くにいられたらそれだけでいいのに」とか思ってる人にとっては一番致命的だと思う。


微塵も存在許してもらえんのかい っていう絶望は凄いよね……。


とにかく人間を大きく良くも悪くも動かす「きっかけ」みたいなのが視覚ではっきり捉えられると、結構印象的に残ったりします。
なので、そういう究極の理由は小説などでもはっきり描いた方が読み手は心地よかったり かなり覚えていてくれるものになるのかもしれません


この前言ってた漫画の【あさきゆめみし】で光源氏の女関係に悩みながらも共に過ごして来た紫の上の心が折れてしまったのは「三の宮」が皇女なので降嫁すると自分より格上の正妻に成らざるを得ないからなんですよね。

光源氏がどんな女と付き合って来ても、自分より社会的身分が格上になる女性を家に連れて来なかった。そのことで、自分は重んじられているんだと実感出来ていたんですよ。明石の君も優れた女性ですが身分は低い方なので。だから光源氏の娘を生んでも実母であることは伏せられて、明石の姫君は格上の紫の上の養女として育てられたわけです。

三の宮が若い女の子だったからとか、皇女様だとか、そういうのは関係ないんですよ。

正式に結婚して降嫁して正妻となると身分の高い三の宮が格上になる以上、

余生(まあまだ紫の上も四十歳くらいだったけど、当時の人の寿命を考えると、そろそろ余生の過ごし方を考えたい頃合い)をようやく光源氏と穏やかに静かに二人で過ごしていけるのかな、って思ってたところに、いきなり格上の結婚相手連れて来られて自分の立場が下げられてしまったら、やはりそら心の拠り所なくしますよね。

それでも光源氏を恨まずに、自分はもうこれ以上は幸せにはなれないだろうなと人生を悟って儚んでしまって、自分が病になってしまう所が紫の上の心優しい女性であるところなんですが、

紫の上が苛烈な性格してたりどんなに優しくとも怒りが勝ったら光源氏お前二条院殺人事件が起こってたからな

反省しろ 

紫の上さん大好きな私はそんなお前が柏木に妻寝とられたこととか別にどうでもいいわい

三の宮が裏切り女だからやっぱり裏切らない紫の上は最高みたいに思うなこの野郎
そんなことがなくたって紫の上様は最高だ この浮気報告男めが😇(須磨の出来事参照)








とにかく人間には色んな「きっかけ」が起こります。

人を憎むきっかけ。
人を愛するきっかけ。
守りたいと思うきっかけ。
激怒のきっかけ。

こういうきっかけは創作において見せ場なので、くっきりはっきりと印象的に描いて行きたいものですね。

だからこそ私はこれからも様々な作品を見ながら「こういうきっかけもあるのか~✨」と分析を続けて行きたいと思います

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