• 異世界ファンタジー
  • エッセイ・ノンフィクション

アホ女の問題は、アホ女自身が問題を解決するのと同時に、新たな問題を生み出してしまうことね

絵は桜雪さゆと水鏡冬華。

そしてエジプトで休憩のプレビュー↓



 プトレマイオスがフィオラ=アマオカミとオリュンピアスに聞く。
「それで。計画はどうなった。報告頼む。
 でもまさかマケドニアの王都ペラがあんな魔界になっているとはな……びっくりした。変な棺桶(車)が超スピードで走ってるし。
 それにあの、わたしにカンチョーしてきた野郎……ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒだっけ? とその連れのアリウス=シュレーゲルとフレッドが見えないがどこに行った。エウメネスもいないようだが……ミハエルと同じか?
 エウメネスの死体偽装作戦はまだしてないよな。あんなてんてこまいで、最後はカッサンドロスが500mの巨大ロボで出てくるんじゃあする隙もなかったろうに」


 フィオラ=アマオカミは疲労から少し立ち直り、プトレマイオスの問いかけに対して正面から向き合った。汗でわずかに湿った髪を整えながら、彼女は自分の赤い瞳を閉じてから再び開いた。
「計画は……変則的に成功したわ」
 彼女はゆっくりと説明し始める。竜族特有の落ち着いた声音が、周囲の混乱と対照的に静かに響く。
「ロクサーネと若きアレクサンドロスの救出には成功した。これが最優先事項だったわ」
 オリュンピアスは孫を今なお腕に抱きながら、静かに頷いた。彼女の表情には安堵と同時に深い疲労が刻まれている。長い亡命と策略の日々を経て、ようやくアレクサンドロスの血を守るという使命の一部を果たしたのだ。
「エウメネスの死体偽装はまだよ」
 フィオラ=アマオカミは続けた。
「あれだけの混乱の中では無理だったわ。カッサンドロスの巨大ロボット登場は完全に想定外ね……さゆの時空歪曲の結果だわ」
 水鏡冬華はフィオラの言葉に小さくため息をついた。
「桜雪さゆが引き起こした時空の歪みが、どれほど広範囲に影響しているのか…心配だわ」


(中略)


「アホ女の問題は、アホ女自身が問題を解決するのと同時に、新たな問題を生み出してしまうことね。海竜も巨大ロボットも……彼女の時空歪曲がもたらしたものかもしれないわ」
 フィオラ=アマオカミは立ち上がり、窓際に歩み寄った。彼女の姿がエジプトの日差しに照らされ、竜の角が金色に輝いている。
「いずれにしても、今はここで休息を取るべきよ。ロクサーネとアレクサンドロス、そしてオリュンピアスも疲れている。それに……」
 彼女は振り返り、微笑んだ。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する