国際結婚すら険しいのに、紀元前4世紀と紀元後21世紀のカップルが結婚しようとする話。↓
プトレマイオスの船まで一度戻り、それからマケドニアに再び入った水鏡冬華+ミニスカ巫女の天馬蒼依、全体的に白いヒーラーのガートルード=キャボット、オレンジ色の服と白いジャケットで銀髪ストレートロングヘアーの魔法剣士アン=ローレン、全体的に青い魔法使いのユーナ=ショーペンハウアーの冒険者チーム4人組。
「冬華さん! あの人だかり何? なんか全身鎧着た人が10000人くらいいそうで、中心に紀元前の貴族っぽい人と21世紀のOL、スーツ姿の日本人女性がいるんだけど」
天馬蒼依がそう言って、手を目の上に当てて遠くを覗くような仕草をする。
「なんかさ。関わっちゃいけないような気がするんだけど、一応見てきましょうか」
水鏡冬華が半眼でそういう。
「頭病めそうな出来事のような気がするけどねーーーー」
水鏡冬華がそうごちる。
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マケドニア王都のペラの広場。
マケドニア貴族(紀元前4世紀)と女(紀元後21世紀)が言い争っていた。女(紀元後21世紀)はどうも日本人のようだ。黒髪茶目である。どういった経緯でマケドニアにいるのがよく分からないが。
「申し訳ありません、私、出産しました。貴方の子どもではありません」
そういって頭を下げたマケドニア貴族の妻の顔には悲壮感しかなかった。
混乱する妻は、不倫したらしい。ある貴族と不倫したらしい。
ある貴族の家族が戦で全滅し、彼女は同情しながら聞いていたが、その妻の話では別のマケドニア貴族の子どもを出産してきたらしい。
「わたしも子供のとき家族を失い心をこわしたことがあるんです!
あの方の気持ちが分ってしまう」
そういって妻(紀元後21世紀)は離婚届と結婚指輪を差し出した。
「言い訳はしません、貴方(紀元前4世紀)のお好きなようにしてください。ですが、私の愛は貴方と息子と娘にすべて捧げています。それだけは信じてください」
そう言って彼女は土下座し動こうとはしなかった。
「おっいいよ! わたしそこら辺については『マケドニアのフィリッポス2世』と同じ考えだから。
わたしの種で子を残せ。男の子をな」
(中略)
不倫に対する怒りはわかりますが、他人の命を奪うことで解決するべきではありません。
貴方と共に、より良い未来を築くためには、冷静な対話が必要です。
私は貴方を心から愛しています。どうか、この状況を打開するために、ともに智慧を絞りましょう。
このままでは、また私たちは永遠の別れを繰り返すだけです。貴方と一緒にいるために、私は何でもします。どうか、お願いです」
女(紀元後21世紀)は涙を流しながら、兵士たちに捕らえられながらも、マケドニア貴族(紀元前4世紀)への愛情を訴え続けた。
「不倫は許すと言っておる。なぁんども。
マケドニア貴族では他の種で男の子をなすのがアウトだ。女の子なら別に何人不倫で作ろうが笑顔。
お前が変わる意思がないのなら、これが繰り返されるだけだ」
マケドニア貴族(紀元前4世紀)はそう言い切る。
狂気である。
何が狂気かっていうと、
「同じことを繰り返し行い、違う結果を期待すること」
イーサ、エーテル、量子力学を否定した有名な舌ベロンも言ったことがある。
「わかりました。私が変わらないというのなら、果てしない繰り返しが。
これまでの選択はすべて私の責任です。
私は貴方を愛するが故に、自分自身を捨てる覚悟ができました。
しかし、未来永劫に悲劇を繰り返すのは、どちらにとっても残酷すぎます。
この呪われた運命を断ち切るためには、私が変わります。
貴方の意見を尊重し、他の種で男の子を許すという条件を受け入れましょう。
どうか、もう一度私たち家族にチャンスをください。私は貴方との愛を大切にし、どんな困難も乗り越えます。この先、幸せな家庭になるために、ともに努力しましょう」
ちょっという事も狂ってきた決意した女(紀元後21世紀)である。
「死にたいのか?
『他の種で男の子を許す』というのが死につながる条件だという。
アレクサンダー大王とてフィリッポス2世と他の種疑惑で大分もめたじゃないか! アレクサンダー大王の父親がネクタネボ2世疑惑で!!
他の種で男の子を許さない。これが生きる条件だ。
3度目だな」
マケドニア貴族(紀元前4世紀)は辛抱強く条件を提示してくれる。
どういう時は怒るのか、どういうものは21世紀と違い、紀元前4世紀では笑顔でスルーなのか。
女(紀元後21世紀)は1万のマケドニア兵に串刺しにされた!
(中略)
「はぁぁぁぁぁ…………。根性はすごい。1億回繰り返してるのにどっちも折れないじゃない……。
片方は紀元前の風習通そうとするし、もう片方は21世紀の恋愛のつもりで噛みあってないし。
これ1億回以上ループしたしーーーー!」
呪禁を唱えつつ、水鏡冬華。
「ホント根性論って悲劇生みますよね…………1億回続けても終わりませんよー冬華さん!」
呪禁を唱えつつ、ホントにげんなりした顔で、天馬蒼依。
(後略)
むり!
これがどう決着を迎えるかは、9/11の更新で明らかになる。
