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元々起きてた大混乱 プレビュー

 絵はサリサ=アドレット=ティーガーとフィオラ=アマオカミ。
 プレビュー↓


 巫女の天馬蒼依、全体的に白いヒーラーのガートルード=キャボット、オレンジ色の服と白いジャケットで銀髪ストレートロングヘアーの魔法剣士アン=ローレン、全体的に青い魔法使いのユーナ=ショーペンハウアーはプトレマイオスが船で攻め入る前に21世紀のマケドニアにいた。
「ちょっと、これ! この街だけおかしいよね。文明レベルちぐはぐだよ! ここってなんて街だっけ? ペガ? ペガサス? 流星拳? わたし水鏡冬華師匠のようにちたま(地球)詳しくないって! わたしたち火明星(ほあかりぼし)生まれホアカリぼし育ち!」
 21世紀の北マケドニアの車道のど真ん中で喚く天馬蒼依と3人。
「タイヤの兄貴、変なのがいますぜ」
「あれわな。巫女って言うんだ。ネットで見た。じゃぱんのシャリンに生息しているエロいメイデンだ。捕まえるぞ!」
「おお!」
 ぶぅうん、ぶぅううん――――!
 と、女4人目掛けて黒塗りの車が突っ込んでくる!
「何あの車輪箱。うるさ」
 アン=ローレンが危機に瀕してはのんびりとした口調で呟く。
「むかってきますよ…………! あの車輪ついた棺桶!」
 ガードルード=キャボットが恐れているような常識ある行動をとる。
「ちょっと、角に寄りましょうよ…………」
 ユーナ=ショーペンハウアーが常識的な事を言う。
 だが、車道を4人して横並びに歩いているのは地球の常識からは外れている。
「へえ。あの車輪棺桶やる気? ちたまって頭悪い? クルクルパー? おい、ちたま(地球)いきがってんじゃねーよー、こちとら水鏡冬華師匠に霊波動鍛えてもらって呪禁道もちゃんと基礎からやり直したんだから――見違えるくらいに強くなったんだから! S級よS級!」
 天馬蒼依が喧嘩を買ったようだ。なんのS級かは分からないが。
 北マケドニアは、元の21世紀では比較的安全だ。とはいっても、観光客を狙ったスリや値段吹っ掛けはある。あと地域によっては民族紛争、というかこれくらい当たり前、というべきか。これは日本人だけびっくりすることなんだが、これでも治安いい方だ。

 夜1人歩きに出て平気な街なんて、楽園レベルだ。
 そして日本から能天気に旅行に出てきたやつは、カモネギに見えるというわけだ。
 だが天馬蒼依は日本人ではなかった。ミニ巫女装束だが。
 何やら走る棺桶に人が3人入っている。
 グラサンをつけている。全員男だ。それ以上の情報はシャットアウトした天馬蒼依。天馬蒼依が青いオーラに包まれる。霊気を外に出し始めた。そして刀に手を当てて腰を落として構える。車輪棺桶は目の前まで迫っている。
 次の瞬間――――!
 それを見ていたスラブ系の民族が天馬蒼依を見て
「危ない!」
と叫ぶ。
 次の瞬間に可愛い巫女が滅茶苦茶にひき殺される風景を想像し、目を覆うスラブ系民族……。
 どんがらがっしゃあーーーーーーーーんっ!
 車に人が引かれた音とは違う。急ブレーキの音もない。
 スラブ系民族が再び目を開けると、青いオーラに包まれた天馬蒼依の得意げな顔と茶色の瞳と黒い前髪パッツンロングヘアーと青いオーラに包まれた日本刀が映った。
 いや、それだけではない。
 走る棺桶が上空100mを走ってプトレマイオスの船団に突っ込んでいくのが見えた。空中分解しながら。
 その走る棺桶を水鏡冬華が船から飛び出して、霊気もあまり出さずに乱切りに斬る。
「あの霊気……蒼依じゃない! それに+3でいつもの4人グループ! モリガンにVR食らった際にはぐれたと思っていたけど、王都にいたのね」
 走る棺桶を切った後、水鏡冬華は、そのままジャンプしつづけてペラの土地に足を踏み入れる。

(中略)

「それより、さゆ、海一面に増殖したあなたの頭をどうにかしなさいよ」
 桜雪さゆは海面に広がる無数の自分の顔を見て、くすくすと笑った。
「わざとじゃないもん。面白いからそのままにしとこうかな」
「いい加減にして。あとで誰かが片付けることになるんだから」
 サメが食べようとしているが、サメがさゆの頭に食べられていた。
「まぢいなこれ。これまぢいぞ! 冬華、なぁ!」
「まずいねぇ明日香ちゃん!」
「鮫踊り食いまぢいから海そのものに八つ当たりするかぁ? 冬華」
「それやるとウガヤ様怒るんだよー、いくらわたしたちでもウガヤ様には勝てないんだよー。さゆねえだって恐れてたんだよー」
「じゃあ海消滅はやめるか」
「うんー」
 2頭身の菊月明日香のちっちゃい方(ミハエルと彼女の産霊(むすひ)で生まれた子どもで霊力が生まれた時から親と同じくらいのスペック)、2頭身の水鏡冬華のちっちゃい方(ミハエルと彼女の産霊(むすひ)で生まれた子どもで霊力が生まれた時から親と同じくらいのスペック)も鮫を食べていた。踊り食いで。
 船は徐々に減速し、港が近づいてきた。エウメネスは息を深く吸い込み、覚悟を決めた様子だった。
「ここからが本番だ」



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