紀元前4世紀に呼び出された21世紀の北マケドニア!
電気もない世界では役立たずだ! テクノロジーなど役立たずだ! 紀元前4世紀に発電所なんかないよ!
絵は紀元前4世紀を基準とすれば生まれる600年前な、男の天照と同一視されたりするイズモタケルくん。(男の天照もイズモタケルも、櫛玉の名を持つがゆえに)。
ちなみに当時の日本はウガヤフキアエズ朝日本です。
大和朝廷の前だからね。最初神代七代王朝日本(男の天照)で豊受朝日本(瀬織津姫)でウガヤフキアエズ朝日本で(天津日高日子波限建鵜草葺不合命)、紀元後って流れ。
プレビュー↓
「面白いわね。アホ女の火炎千本桜が消えた後、燃えた地域に21世紀の北マケドニアが紀元前4世紀に差し込まれたような形になっている。そして……」
水鏡冬華は千早を通して時間の流れをさらに詳しく観察した。
「瞬間的な時間の乱れが起きたけれど、すでにロータスの法則が働き始めているわ。時間が自然と調和を取ろうとしている。
まるで川の流れに石を投げ入れたとき、一時的に波紋が広がっても、やがて元の流れに戻るように」
フィオラ=アマオカミは水鏡冬華の言葉を聞いて少し安心した様子を見せた。彼女の赤い目が落ち着きを取り戻し始める。
「それなら、私たちが大きく介入しなくても、歴史は元の流れを取り戻すのね」
エウメネスは興味深そうに冬華に近づいた。彼は千早を見つめ、そこに映る時間の糸を理解しようとしている。
「では、オリュンピアスがエジプトにいることは、私たちの計画にどう影響するだろうか?」
水鏡冬華は水晶の鏡を手にとり、千早と合わせて観察する。
二つの霊具を使うことで、より詳細な時間の読み取りが可能になる。
「オリュンピアスとプトレマイオスの接触が早まるわ。
本来の歴史ではもっと後に起こるはずだったことが、アホ女の介入で前倒しになった。でも、それはエウメネスの東への逃避行にはむしろ有利に働く可能性がある」
空夢風音は千早の結び目を調整しながら、エウメネスの糸を慎重に観察していた。
「エウメネスさんの運命の糸の色が、青からやや紫がかった色に変わっています。これは……より速く、より遠くへ旅ができることを示しています」
サリサ=アドレット=ティーガーはそれを聞いて興奮した様子で拳をぐっと握った。
「つまり、より早く日本に着けるってことだね! さゆちゃんマジ天才!」
「意図的にやったわけじゃないでしょ!」
フィオラ=アマオカミは苛立ちを隠せない。
「あの子が無計画に暴れた結果がたまたま良い方向に作用しただけよ」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは羊皮紙の上に新たな記号を描き始めた。彼の表情は真剣だが、どこか楽しんでいるようにも見える。
「計算が合ってきたな。アンティハゲロスの消失とオリュンピアスのエジプト亡命。それによってカッサンドロスの行動が早まる。
さらにプトレマイオスがオリュンピアスを匿うことでエジプトとマケドニアの関係が変化する…」
彼は一度筆を止め、フィオラとエウメネスを見た。
「エウメネス、お前の『死亡』を偽装するには、オリュンピアスとプトレマイオスの協力が得られると有利だな」
エウメネスは頷き、思考を整理していた。彼の頭の中では様々な可能性が交錯している。
「確かにそうだ。プトレマイオスは私に対して比較的友好的だった。
オリュンピアスもアレクサンドロスの母として、私がアレクサンドロス派だったことを評価していた」
空夢風音は千早を手にエウメネスの前に立ち、静かに話した。
「儀式の準備をします。エウメネス様の姿を霊的に変容させ、身代わりを作るには、日没までに霊力を集める必要があります」
「幻覚変身(ディスガイズ・イリュージョン)だな」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒがそういった。
