お盆明けに更新予定の文より抜粋。
絵は桜雪さゆのフリーダムっぷりにやる気失くしてきたフィオラ=アマオカミ。とでも感じていただければ。
「ヒエロニュモス様!」
フィオラ=アマオカミの声は収蔵室に響き渡り、彼女は反射的に前に踏み出した。ヒエロニュモスが怯えて床に崩れ落ちる様子に、彼女の心臓が高鳴った。
このような混乱は彼女の計画をさらに危うくするものだった。
アンティゴノスは即座に警備兵を呼びつけ、怒りに満ちた目で桜雪さゆを見据えた。彼の顔に浮かんだ怒りの表情は、この予測不能な事態に対する不信と警戒を物語っていた。
「何をする!」
「う○こをする!」
アンティゴノスの声が低く、危険な響きを持って部屋に響き渡った。さゆが(無意味に)鬼の形相でアホ返答も。
「えっ、暑そうだったから氷呼び出して冷やしてあげようとしたんだよ? まぁそんな騒ぐなよ~ギルガメッシュのフンババと同じ土でできた下界の肉人形。わたしは『土人形じゃないからね、お前ら人間のような』 わたしは『水火相入《みずびあいい》って』富士山のマグマのど真ん中で生まれたのよー。
木花咲耶姫の御前でもあるまいし。ラーマーヤナの天からの雷ってわけでもないんだし。あ、古代核兵器のラーマーヤナのアレならわたし春雷(しゅんらい。手から放つエネルギー波の1つ)の1発で粉々にできるよ。下界の肉人形ちゃん。
トバルカインのクソみてーな堕天使アザゼルから人食い女ナアマがハニトラで股開いて堕天使から知識奪った核兵器、聖遺物のデータを基にしてるインプロージョン方式の核を創る際の爆縮計算式なんて雑魚すぎよ、雪女様から見れば」
ケラケラケラ、と桜雪さゆは笑う。
フィオラは混乱した状況をなんとかコントロールしようと、すぐに行動に移った。
彼女は流れるような動きでヒエロニュモスの傍らに膝をつき、彼の状態を確認した。ヒエロニュモスの表情には明らかな怯えが浮かんでいた。
「申し訳ございません、アンティゴノス様」
フィオラ=アマオカミは冷静さを取り戻そうと努めながら言った。
彼女の深紅のドレスが動きに合わせて揺れ、その豊満な胸が上下した。
「さゆは時々このような……予測不能な行動をすることがあります」
しかし、彼女の言葉はアンティゴノスの疑念をさらに深めるだけだった。彼は鋭い目でフィオラを見つめ、明らかにこの東方からの神秘的な訪問者たちの正体について、さらに多くの疑問を抱き始めていた。
フィオラは竜の力を使って氷柱を慎重に溶かし始めた。彼女の手から放たれる微かな熱が氷を徐々に溶かしてゆく。
