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誰にも読まれなくともー今は気分が乗っているので更新するーシリーズ3

絵はモリガンのVR中で彼女は何してるのやら……なレティチュ=ド=エーロ。
忍術で光熱費ゼロです。魔力でゼロです。言わば自分自身が電源だから。

今日の更新は、
女いなくて楽だって思ってたら敵側かよー!
https://kakuyomu.jp/works/16818023211859110800/episodes/16818792436849246543
これ。


「では、エウメネスについて君が知っていることを聞かせてもらおうか」
 フィオラは優雅に頷いた。彼女の計算通り、危機は新たなチャンスに変わった。アンティゴノスの側近としての立場をさらに強固にし、同時にエウメネスの計画を内側から支援するための絶好の機会だ。
「彼には独特の弱点があります」
 フィオラは静かに言った。彼女の声は丁寧でありながら、確信に満ちていた。
「人間、下界の肉人形には独特のじゃくてーんがありまーす!」
 桜雪さゆがわめいた。
「昼はわたしの妖力で紀元前どころか21世紀になってもこの争いばかりのクソ星全体の
気温を10000度にします。
夜はわたしの妖力で
気温を-270度
にします! ついでに時速2000kmの風の台風をそこかしこにおいて海王星の環境を真似ておく。
 剣を抜く以前に人類全滅できます! わたしは平気だけど。フィオラも竜神だからこのくらい平気だよね!?」
 フィオラは、半眼で桜雪さゆを睨んだ。
「アホか! 人類絶滅させてどーせいちゅーのよ! だいたいそれやるならわたしたちが外宇宙からエネルギー波撃って終わ――」
 アンティゴノスの目線が気になるフィオラ。
「おほほほほほ!」
 笑ってごまかす。
「エウメネスの弱点とは?」
「それはですね――」
 フィオラは言葉を続けようとした瞬間、桜雪さゆの突飛な発言に動揺し、一瞬言葉に詰まった。
 しかし、アンティゴノスの鋭い視線を感じ、すぐに冷静さを取り戻した。彼女の深紅のドレスが室内の薄明かりに浮かび上がり、竜の面影を帯びた優雅な姿が収蔵室に広がる。
 エウメネスの弱点を伝えるという名目で、実は彼を救う情報を紡がなければならない。アンティゴノスの信頼を得つつも、エウメネスを東方へ逃がす計画を進めるための綱渡りのような会話。この手腕こそが、長い歳月を生きてきた私の真価が問われるところ。
「エウメネスの最大の弱点は、彼の周囲との関係性にあります」
 フィオラは慎重に言葉を選びながら、静かに語り始めた。
「マケドニア人ではない彼は、常に外部者として扱われ、それが彼の孤立を深めています。特に銀盾隊との関係は微妙で、彼らの忠誠は金銭と利益に左右される傾向があります」
 アンティゴノスの目が鋭く光った。彼は明らかにこの情報に興味を持ち、フィオラの言葉に耳を傾けていた。ヒエロニュモスもまた、同郷人エウメネスについての話に身を乗り出すように聞き入っていた。
「彼はカルディア出身として、マケドニア貴族たちからの完全な信頼を得られていません。この弱点を突けば、彼の部隊内に不和を生むことができるでしょう」
 これは歴史書にも記された弱点だ。
 フィオラ=アマオカミの赤い瞳はヒエロニュモスの反応を見逃さないようにしていた。同郷人であるヒエロニュモスとエウメネスの間には何らかの繋がりがあるはずだ。その反応から真実を読み取りたいと考えていた。
「そして、彼にはもう一つ弱点があります」
 フィオラは声を低くして続けた。
「彼は東方の文化、特に日本という遠い島国に強い関心を持っていると言われています。彼がその方向に逃げる可能性は高いでしょう」
 彼女の言葉はアンティゴノスに正確な情報を与えるように見せかけながら、実はエウメネスの東方逃亡計画の種を巧みに植え付けていた。
 桜雪さゆの存在は厄介だったが、むしろ彼女の突拍子もない言動が皮肉にも自分の計画を助けるかもしれないと思った。

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