読書日誌01.Hの独白(午後の曳航)

尊敬してた漢が、女の前でデレデレし始める。これは見るに耐えない独特の吐き気を感じるだろうな。
普段から尊敬してる上司にキャバクラに連れて行かれた時を思い浮かべてくれ。

苦楽を共にして、叱られてそれでもこちらを育てようと本気になってくれる。そんな男が女にヘコヘコデレデレしてるんだ。

『蛙化』なんで生優しい言葉じゃ表せないだろう?

場所が場所ならこう思うね。

『俺の中の神様を殺しやがったな』っていう、抜き差しならねえ殺意だ。

普段そんなことを思っても実際に灰皿を手に持ってぶん殴るやつなんでいない。そうだよな?

でも登たちの凄いところは、その『失望』をランチタイムの愚痴なんかにしてやらないところだ。
確実に、粛々と。竜二の後ろで計画進めていく。
後半、クライマックスは穏やかなカウントダウンを進めて。

失望したらお前はどう処理する?笑って切り捨てるか?突き放して一生振り返らずに歩いていくか?

登たちは違う。

相手を愛していたからこそ、汚れる前に殺して、自分たちの中の『完璧』を『潔癖な粛清』ってやつで守ったわけだ。

失望を乗り越えて向き合う?
笑わせるな。
三島が描いたのは、その『失望』こそが人間を純粋な暴力へと突き動かす唯一のガソリンだってことだ。あんたの隣の奴は、まだ『殺す価値』があるかい?

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