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https://ncode.syosetu.com/n1936lt/※この作品はシリーズもので単体の視点から感想を書いていますが、シリーズの方に言及することもございます。
この作品を読んだ時単刀直入に言うと「怖くない」。
そう、怖くないんだ。
ホラー作品としての狂気の段階、展開、描写。
それらが存在しているはずなのに、どうしても怖くないんだ。
特に「とある社員寮の話」は順風満帆な中、専務のコネで入った男が足元をすくわれるという構成になっていて、作品で雰囲気づくりに余念がないのも伝わってくる。
……だが、あらすじからして、奇妙な状況になっている。
社内掲示板の張り紙の様式で、入居条件と待遇について書かれている。
社内掲示板に張り出す社員寮の掲示なのになぜ待遇が書かれているのか。
社員寮の入居者募集と求人票がまざっていないか?
社内に張り出すということは、社内で求人を出しているということで解釈はあっているよな?
まあいい。解釈はそれで進めよう。
(途中で収入が30万しかないという悩みを吐露していて余計にわけがわからなくなった。)
基本「小野」という男の視点で進むのだが正直結末を読んだところであまり怖くない。
コネを持っていた相手にいいように使われていたり、「少し危ない話に突っ込んでしまった結果、いつの間にか引き返せないほどに危険な話に突っ込んでしまった。」という歪みはよくわかる。わかる。それが彼にとっての日常で、その日常の中で社内のどろどろとした雰囲気や誰にどんな印象を持っているかを赤裸々に暴露する姿は容赦がなかった。
気味悪い空気を作り出そうとする描写や、理解を拒む怪異が起こったときの生理的な感覚はかなりいい線を言っている。怖がらせようっていう雰囲気や作者の熱量は間違いなく届いている。
ラストのWebの視覚的なギミックをうまく使った、びっくり箱みたいな演出もそうだ。
……なんとなくだが、「最後にどんでん返し」や「凄惨な結末」を置いて描き出されるカタルシスというものを強く意識して計算しているのかもしれない。
……確かに最後の「死んだであろう男の視点」ってのは斬新だが、怪異の理不尽、社会の理不尽さよりも、作者の「優しさ」を画面の裏から感じちまったのかもしれないな。
俺は書籍化されたホラー小説はほとんど読まない。
「成瀬真央まとめ」、「三重県津市西区平山町3-15-7」、SCPのTale「カンテサンス」なんかのWeb媒体の怪談はよく見ているし、配信サービスで怪談を流し聞きしたり、洒落怖スレのコピペ掲示板を日がな一日読んではごろごろしていた時期もあった。
……それくらい、Webに転がる恐怖を消費してきた自負はある。
だからこそ「ホラーの文脈なのになぜか怖くない」という奇妙で、「不思議」な現象について、疑問がぐるぐると回り続けているわけだ。
作品が悪いわけじゃあない。
数々の怪異を見てきた俺の目は「あっちがわ」に言っちまったってことなのかよ?
……どうだろうな。
明日のMがこの霧を晴らしてくれるだろうか。俺の胸に巣食う「呪い」を。