読書日誌01.Mの日誌(午後の曳航)


午後の曳航、そのあらすじは極めてシンプル。
少年たちが、1人の堕ちた英雄の殺害を計画する。
この一言に尽きるだろう。

しかしその経緯やそこまでに至る少年グループのあらゆる『失望』が刻銘に記されている。
登たち少年グループたちにとって竜二は『海という名の超克』を体現する英雄でなければならなかった。
しかし、その英雄があろうことか渇いた甲板ではなく湿気た家庭へと堕ち、靴下を脱ぐ。その瞬間に失望は『自分たちの信じた世界の汚れ』となる。
現代においては『蛙化現象』という個人感情の問題として片をつけるが、少年たちはその堕落に『粛清』を突きつけた。

失望を飲み込んで大人になるのを拒絶し、英雄の再定義として死をおくる。

美しくあり続けるために
相手を解体し
概念へと昇華させる

それは現在こそマイルドだが行われる『蛙化現象』への対処の一つだろう。

我々が日常で感じるささやかな失望は、実は『粛清』へのカウントダウンに過ぎない。
あなたが愛する人の靴下の脱ぎ方に嫌悪した時、あなたの心の中には、すでに登と同じ剃刀が握られているのだ。

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