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奴隷ローマ転生tips 57話 ローマ時代に企業って概念をぶち込むインパクト

本編ではルシウスは単純に利益誘導を行うために法人制度の制定とそれとバーターでの法人税をドミさんにアドバイスしてますが、実は帝国経済と帝国財政で見ると法人税と有限責任制度の抱き合わせはアホみたいに相性が良かったりします。

まず、本編の例を参照しましょう。
本編は長くしすぎないため色々な前提を端折っていますので、ここではもうちょっと詳細に設定を作りこみましょう。

船の数:
100隻に修正

船1隻のレンタル代:金貨100枚

街の金持ちの構成:
①資金200、有能な奴隷1を持っている人 10人
②資金100、有能な奴隷1を持っている人 40人
③資金20、有能な奴隷1を持っている人 50人
④資金100だけ持っている人 30人

金持ちの行動パターン:
・使える奴隷がある場合はとりあえず商会を任せる。
・基本的に資金の50%以上は残るように行動する。ただし50%の確率で博打を打つこともある。
・分散投資が可能な場合はする。

この場合、奴隷ペクリウムと有限責任組合でどうなるかを比較しましょう。

奴隷ペクリウムの場合:
・船を借りる→30人 ②の半分と①
※②のもう半分はリスクでしり込みをする
※③④はそもそも土俵に立てない
・町全体の収益
 30隻×90%×金貨200=5400枚(利益2400枚)

有限責任組合の場合:
・船を借りる→100人①②③
※④は金だけ出す
※船を借りる人も自らへの全掛けはせず、他への分散投資を行う。
・町全体の収益
 100隻×90%×金貨200=18000枚(利益8000枚)


奴隷ペクリウム時代では2400枚しか儲からなかった市場が8000枚儲かるようになりましたね。
これはもともと大資本を持っている人しかできなかった事業がみんなで元気球を作って大資本にすれば同じことができるようになった効果によるものです。


実際は使える奴隷のいない④や余剰資金のある①は②~③に金を貸す、というパターンもありましたが、貸付でとれる上限金利は年利12%。実効レートはもっと低いことを考慮すると、失敗率1割の場合、分散貸付をしても元本割れのリスクは出るのでここでは貸さないと仮定します。

そして、今の例は市場が増えましたよ、という説明ですが、これが必要資金が10倍の場合、0だった(お金が足りなかった)ものが1や2になるわけです。



さて、そう言うおさらいをしたところで、政府からの見た目に移りましょう。


皆さんこう思いませんでした?


「じゃあ別に法人専用の売上税を作ればいいだけじゃん。必ずしも法人税と法人制度をセットで入れなくてよくね?」と。

まあ、ある意味では正しいです。
必ずしも所得税の一種である法人税である必要はありません。
しかし法人が持つ「巨大化したいという欲求」と「政府に企業を儲けさせることへのインセンティブ」をぶつけるという意味ではここはセットでやることでうまあじになります。


さっきまではうまくいった例ですが、ここではこの制度の後に、何か問題が出てきたと仮定しましょう。

そうですね。海賊が増えたとしましょう。

もちろんこの時期のローマは最強の海軍を持っています。
物流が滞るレベルではなく、小規模なモノでしょう。

しかし当事者の商人は無防備でいるわけにはいきません。
貿易船は護衛などをそれぞれで雇う必要があり、コストがアップして利益が圧迫され始めます。

そして商人たちはこう思います
「海軍がやってくれれば、個々人で護衛を雇うより安いのに!」
と。

そこで商人たちは政府に嘆願を行うでしょう。

「海軍出して!」と。

古代ローマではこういう時に庇護者を使うわけですが、今回は制度的な考え方をするので、一旦それを無視し、政府(マクロ)からみたメリットデメリットで判断します。


まずは売上税の場合。

政府としては物流量が減るレベルの影響が出始めた場合は流石に対処に動きますが、そうでないのであれば販売量に連動して税を取る売上税の場合、商人の利益が減ったところで自分たちには影響がありません。海軍を動かすにはコストがかかるのでおそらく無視するでしょう。


そして法人税の場合。

企業の利益が減るということは法人税の減収を意味します。海軍の派遣コストと減収を天秤にかけ、「派遣コスト<減収の阻止額」となるならば収支としてはプラスに働きます。その場合は、海軍を派遣するでしょう。



ここで分かる通り、一見『利益』から税金を取るという行為は商人にとってはデメリットが大きいように見えますが、その実、政府歳入という人質を取ることになります。
言い方を変えると、所得税というのは政府から見ると、企業を儲けさせる事に強力なインセンティブが発生する税金となるわけです。

そして儲かる事業には金が集まります。

今までリスクが高くて手を出していなかった事業も、有限責任組合というリスクを分かち合える存在を挟めば手が出せます。



まとめると、


企業:政府ちゃん、物品税の時は邪魔ばっかしてたけど、法人税だと儲けるの助けてくれる、好き❤
政府:なんか企業ちゃんの儲けるのを助けると儲かる、好き❤
経済:めっちゃまわってる!うまあじ!


と、しれっと経済革命が発生するのがルシウスが出した案というわけですね。
やばいですわよ。

1件のコメント

  • 脳内ふんわりしていたところがわかりやすくて助かります
    特に③の資金足りない人が集まることで0が1~2になるところと、政府歳入という人質の部分が補強された
    何かあったときの政府側からの介入の言い訳と請願理由にもなるのか~
    税収が減った時にカナリアとか分析もできるのかな
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