ここ数ヶ月、かなり仕事が立て込んでおりまして。
なかなか執筆の方に手が回りません。
まあ、言い訳です。
常に言い訳を用意しながら生きております。
なので近況ノートでお茶を濁します。
◇
長女が学校の期末テスト期間中らしいのですが、朝からソファに突っ伏しております。どうした。
次女と違ってキッチリ準備するタイプの長女なので、テスト勉強もちゃんと出来てるはずなのですが。
聞けば、このタイミングで月のモノ(生々しいので以後『シェリー』と表記します)が来てしまい、なかなか薬が効かず悶えているのだそうです。
キッチリ準備はするけど間が悪い、長女はずっとそんな感じです。
気の毒になあ……とは思いますが、ぼくには本当の意味でその痛みはわかってやれません。
いや、男女の違いだけの話ではなく、悲しいかな人は人の痛みというものを本当の意味でわかってやることなど出来はしないのです。
ただ、寄り添うことならできるかもしれません。
思い出すのは十数年前。
ヨメもまた、シェリーが重く毎月とても大変そうでした。
イブを飲もうがバファリン飲もうがロキソニン飲もうが痛いものは痛い。
本当に辛そうでした。
とはいえ。
オットができることなど限られています。
せいぜい、コンビニでちょっと高めのアイスを買ってきて。あとはヨメ分担の家事を引き受けてやるくらいでしょうか。
しかしそれらは、残念ながら直接的に痛みを和らげてやれるものではありません。
そんなある時のこと。
どこで聞いてきたのか、ヨメが逆転の一手を繰り出そうとしておりました。
それは「テニスボールで肛門を押す」という荒業です。
ほんとにどこで聞いてきたんでしょうね。それ。
しかし問題があります。どう押すか問題です。
まずソファにボールを置いて、その上に尻を乗せてみたようです。
「お?」
顔を上げるヨメ。どうした。
「うむ、悪くない」
悪くないそうです。
「でも惜しい感じがする。微妙に芯に届かないというか」
なるほど、柔らかいソファの上だとボールが座面に沈み込んで効果が十分ではないようです。
では、硬い床の上ではどうでしょう。
「ファーッ!?」
どうした。
「アカン、中世の拷問だこれ」
ないよ、そんな中世の拷問。
とはいえ、肛門を圧迫することでシェリーの痛みを和らげるという方向性は間違っていないようです。
和らげるというよりは別の刺激で痛みの意識を分散すると言いますか。
それは東洋医学的にも理に適っているように思います。知らんけど。
しかしその塩梅がナカナカ難しく、繊細なタッチが要求されるとのこと。
そしてもうひとつ問題が。
座っているときはいいとして、寝るときどうすんだ問題です。
「自分でテニスボール握って圧迫したらいいんでない?」
「アホか」
ぼくの適当な提案にヨメが怒った理由はすぐにわかりました。
もしよろしければ、ご自身でお試し頂きたい。
人体の構造というものは、手にしたテニスボールで自らの肛門を力強く圧迫できるようにはなっていないのです。なかなかこういう機会でもない限り、ふだんの生活の中では気付きづらいことではありますが。
ヨメは言います。
「ひとつ思いついたんやけど。ちょっと手伝ってはもらえまいか」
「いやだよ」
「まだ何も言うてないやないか」
この状況で生まれるアイデアがロクなもんではないことくらいぼくにもわかります。
「ようやくアナタが役に立つ日が来たんやで」
そうか。ようやく来たのか。
◇
その夜。ぼくらはいつものように並んで仰向けになって寝室の天井を見上げていました。
いつもと少し違うのは、横に並んでいるのではなく、縦に並んでおります。
ヨメが上、そしてぼくが下。
ぼくらをそれぞれ「火」の字に見立てますと、ちょうど「炎」になる形です。
大人ふたりが縦に並べるほど広い寝室ではありませんので、ヨメもぼくも膝を曲げた状態で、ぼくの足は壁に付いています。一方ヨメは頭を逆側の壁に付けている状態です。
どうしてこうなった?
じつはこれがヨメの秘策だったのです。
非常に説明が難しいのですが、要するにぼくの頭頂部でヨメの肛門を圧迫するという、エクストリームな体勢です。
なるほど、これならぼくが足で壁を押す力の強弱で圧迫具合を調整可能です。
そして足の力は腕の力のじつに6倍。たしかグラップラー刃牙に書いてあったので間違いありません。
それはつまり、この態勢を維持する疲労感も大幅に軽減されることを意味します。
完璧です。
ヨメが泣いております。
「こんな……こんな嫌や……」
ザ・俺のセリフです。
「人」という字は人同士が支え合ってる姿なんだ……みたいな話あったじゃないですか。
でもじつは、「炎」という字の方がより強く支え合っている姿なんだよ、というのをいつか生まれてくる子供たちにも伝えてあげたい……そんなことをぼくは考えていたかもしれません。
もしかすると、金八先生もどこかで同じこと言ってたかもしれませんが。
◇
短編ひとつ、一行すら書けていない近況を書くつもりが二千字超えてもうた……。
そして昼休み終わってもうた……。