会社帰り、電車に乗っていると自宅のヨメからLINEが。
「コンビニで黒のストッキングを買ってきてはくれまいか」
ああ、そういえば明日の法事に履いていくやつを買っとかないと……みたいなことを朝言ってました。
結局、日中に買い忘れたのでしょう。
それはいいのですけども。
ストッキングといっても色々種類があるでしょう。色とかサイズとか厚みとか。
そんな事を考えながら電車を降りて駅前のコンビニに入ると、やはり黒だけでもいくつかの種類が並んでいました。
その中から、たぶんコレかな? と思うものをひとつ取り上げて撮影してヨメに送信します。
少し慎重すぎるかな……とは自分でも思いますが、ヨメのオーダーはいつも言葉足らずで、対するこちらは常に2択を外すタイプなので、まず間違いないと思っても確認は必須なのです。
特に詰め替え用洗剤や柔軟剤など、今まで使っていたものと完全に一致させる必要があるときは気を遣います。
そして今回のストッキングのように普段自分が買うことのないもののときも同様です。
というわけで、ぼくはどんな時でも確認を怠りません。デキる男というのはそういうものなのです。
ちなみにヨメの「黒ならなんでもいいよ」とかいう言葉は信用しないことにしています。
それで七分丈とかエレガントなレース柄をあしらったやつとか買って帰ったら「なんでよりによってコレやねん」とか言い出すのがヨメという生き物なのです。
ところが。
確認のメッセージを送ったのに、ヨメから一向に返事がありません。既読にもなりません。
そのためぼくはコンビニでストッキングを片手に待ちぼうけです。
……。
冷静に考えると、中年男性がストッキングを物色しながら写真を撮ったり店内をぶらついている姿というのはかなり怪しいです。どうしたヨメ、応答しろ。
数分後、返事がきました。
「法事に履いていって怒られないやつ」
知らんわ!
なんだそのふわっとしたオーダー。
それこそ、ぼく……というより世の中の男子的には「黒ならなんでもいいよ」だと思うのですが。
でもそれで適当に買って帰ったものを「ないわー。法事にこれはないわー」とか言って難癖つけるのがヨメという生き物なのです。
とりあえず色は黒って書いてあるから黒でいいのでしょう。
サイズも大は小を兼ねると言いますので大きいの買っておけばいいでしょう。
厚みはどうするよ。
25デニールと書いてあってもそれが厚いのか薄いのかさっぱりわかりません。
なんですかその単位。ストッキング専用単位ですか。
かといってミリメートルで書かれてもたぶんピンとは来ないのですが。
「デニールはよ」
ヨメに尋ねます。しかし予想通り既読がつきません。ヨメ、こういうとこあります。
「デッニール」
自分が追加で送ったメッセージを眺めているうちに、ふとアレを思い出しました。
デビルマンが変身するときに叫ぶやつ。
「デッビール」
危ない。セルフで吹き出しそうになりました。
ストッキング片手にニヤついてたら変な人だと思われてしまいます。
違うんです。ヨメのふわっとオーダーに健気に答えようとする良い夫なんです。
ところが。
そういう状況のときに限って……いや、そういう状況だからこそですかね。
普段忘れているようなことまで急に思い出されたりします。
『バビル2世』の主人公・浩一少年が叫ぶやつ。
「ロッデーム」
もうダメでした。一文字も合ってないのに。
↓ 関係ないけど、ニャー太元気です。
手術の時に剃られた左半身の毛はいつになったら生えそろうのでしょうか。
