帰宅すると、テーブルの上に見慣れないものが。
……巨大黒板消し?
「次女の裁縫セットやで」とヨメ。
裁縫セット。
ああ、学校の斡旋で買ったのね。
むかしは女子ならスヌーピーとかムーミンとかのユルめなキャラクターの裁縫箱を選ぶ子が多かった気がする。
で、男子に人気だったのは何といってもドラゴン。
裁縫にドラゴンてどういうことなんだろね。
ちなみにぼくの裁縫箱は、兄、姉、あるいはその上からお下がり&お下がりで脈々と受け継がれてきた限界間近の裁縫箱だった。
日焼けしてバキバキに割れたフタには、謎の知らないキャラクター。
振ってみると妙に軽い。
針が2、3本しか刺さってない針山がまろび出る。
残ったのはクッシャクシャに絡んだ糸なのか、糸くずなのか。
志乃亜少年、思わず叫びましたよ。
「おかーさん!チン毛しか入ってない!」
ほんとお下がりばかりなのヤだったんですよね。
いや、形が周りの子と一緒なら別にお下がりでもいいんですよ。
でもね、兄と10歳離れてると形もだいぶ違ってまして。
ツバのない紅白帽とか、ほんと勘弁して欲しかった。
クラスでひとりだけツバがないの。
一時期ですけど、ぼくのあだ名「鈴カス」ですよ? 鈴カステラみたいだっつって。
人格歪むわ。
それに比べると、うちの子らはまだ恵まれてる気がします。
それでも、次女は長女のお下がりはあまり好まないようです。
まあ、気持ちはわかる。わかるけども。
だからといってこんな出オチみたいなの選ぶかね……。
