「ウソ、ウソ、ウソ八百万」
「多すぎじゃろ」
肌色多めの、ギリギリな魔王の姿。
恥ずかしくないのかと思うだろ?
だが、俺は知っている。
真央に羞恥心はない。
そういや女魔族ってみんな痴女みたいな衣装だったもんな。
「少なくとも、これはウソ」
「目の前の現実を認めような?」
前髪を上げた顔は確かに美人だ。
そして俺を悩殺しようといろんなポーズで挑発する魔王。
だが、安心してほしい。
こいつにボンキュッボンはない。
「お前も自分の体を認識した方がいい」
「せくしーだいなまいつ?」
「欠片もないだろがい……」
「よし、勇太が三歳の時に書いてくれたラブレターを学校で読み上げる」
「やめてください。死んでしまいます」
なんで、元の世界に戻ったのに、魔王に殺されなければならないのか。
理不尽である。
しかし。
ということはだ。
「やっぱり真央なんだな」
「そう言うとる」
ベッドの上に立った真央は見下ろすようにして美しいドヤ顔を向けていた。
待っていたのだけど降りる気はないらしい……。
「あの、魔王様?」
「何だね勇者君」
「五年ぶりにゆっくり寝たいのでどいていただけるとありがたいのですが?」
すると、真央は不機嫌に鼻をぴくぴくさせる。
「この知れ者が! 五年ぶりにラブリーでキュートな幼馴染に再会して、いう言葉がそれか!? 我、魔王ぞ!」
「はいはい、魔王魔王。どいてくださいねー」
真央の膝裏を左腕でさらって、上半身は右腕で受け止める。
お姫様抱っこだ。
その実、魔王様抱っこだが。
「え、急に!? もちろん嬉しいが、できればいい雰囲気も」
「ただの撤去だ」
真っ赤に怒る真央に、ぽこぽこ殴られる。
俺は勇者なので本気でも耐えられるけどね。
で、床の上に下ろしてから、晴れてフリーになったベッドにダイブする。
「あああああ! 清潔な寝具! なんて素敵か!」
生活周りは酷かったからな、異世界……。
思い出したくもない。
至福の息を漏らす。
眺める天井が懐かしい。
うん、こんな感じだったよ。
そして顔を横に向けると、当たり前のように横に寝ている真央。
表情に乏しい真央は素面のままこちらを見ている。
「でさ、真央って何者なの?」
「知りたいか?」
「うん」
「じゃあ、結婚してくれるか?」
それは……ちょっと考えさせてほしい。