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俺のクラスの陰キャ女子が異世界で倒したはずの魔王だった件⑨



「このアマ、調子に乗ってんじゃねぇぞ?」
「足の下には地面しかないのだが……」

 駆けつけたスーパーの前。
 ナンパ男に絡まれてる真央がいた。

 ナンパ男はだいぶイキリ倒していたが、真央はいつもの感じで憮然と言い返している。
 そりゃ、ケンカにもなるよね。

 まあ、ナンパくらいでよかった。
 ……と思ったら、真央の手首をつかんで持ち上げた。

「いいから来いよ」

 それでも平然と睨み返す真央。

「久しぶりに顔を出して歩いてみたらこれか。とほほだな」

 そうは言っても、ほんのちょっぴりだけ震えている真央。
 俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 いまの真央に魔王の力はほとんどない。
 まったく世話が焼ける幼馴染だ……。

「はいはい、通りますよー」

 二人の間を割って歩く。
 邪魔だから、ナンパ男の手首はチョップしたけど。

「痛ってぇ! てめぇ! コロされてぇのか!?」

 なんで、すぐにコロスとか言っちゃうかなぁ。
 アウトロー界隈の挨拶なの?

「遠慮しまーす」

 笑顔で応対だ。
 対話こそ文明人の証なのだから。
 そこに問題発生。

「勇太ぁ」

 真央が後ろから抱き着いてきたのだ。
 庇護欲を掻き立てられるような声で。

 これ、絶対に状況が悪化するよね?
 ほらナンパお男がスゲー睨んでるし。

「やっぱコロス」

 短気は損気ですよ!
 そんなの関係ねぇ、とばかりに殴りかかってくるナンパ男。

 あぁ、そんな大振りなパンチじゃ当たるの難しいじゃないか。
 あえて、一発殴られて警察を呼んだ方がいいかな?

 どうしようか迷っているうちに、かがんで避けちゃった。
 そして、みぞおちにパンチ入れちゃった。

 お前、隙が多すぎだろ!

「やべ」

 でも、大丈夫。
 勇者パンチは、常人の目には見えないスピードなのだ。
 ナンパ男が勝手に突っ伏したようにしか見えないはず。

「おぉ!」
「彼氏さんカッコいい!」
「死ねナンパ男」

 速攻バレでした。
 何ということだ……。

「この! この!」

 というか、倒れたナンパ男を死体蹴りする女性が何人もいてドン引きだよ。
 そんな有名な嫌われ者だったのかコイツは。

「ありがとう彼氏さん!」

 まちカド勇者みたいになってしまったぞ……。
 騒ぎが大きくなる前に逃げよう。

「それではサラダバー!」

 真央の手を引いて走り去っていく俺。

「ありがとう勇太。うち、今日はすき焼きなのだ。1魔王ポイントを進呈しよう」

 真央の左手の長いビニール袋からは長ネギが頭を出していた。

「そっか」

 すき焼きかぁ……ネギないと困るよね。

 納得しちゃった俺もダメだと思いました。

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